Reconsideration of the History
153.大日本帝国は「無条件降伏」等していない!!(2005.10.10)

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和20(1945)年8月15日。私達は、昭和天皇の『終戦の詔勅』(玉音放送)により、大日本帝国(日本)は連合国の提示してきた『ポツダム宣言』を受諾し、「無条件降伏」した、と教えられてきました。(しか)し、ちょっと待って欲しい。果たして本当に、日本は「無条件降伏」をしたのだろうか? 実は、日本は戦争に敗(やぶ)れはしましたが、「無条件降伏」等していなかったのです。と言う訳で今回は、日本が受諾した『ポツダム宣言』を紐解(ひもと)き乍(なが)ら、日本の終戦について論じてみたいと思います。

(なぜ)、「日本は無条件降伏した」等と言う「伝説」が生まれてしまったのでしょうか? それは、日本が受諾した『ポツダム宣言』の第13項を、日本人自身が曲解していた所にあったのです。以下はその問題の『ポツダム宣言』第13項です。

   『ポツダム宣言』
十三 吾等(われら)日本国政府ガ直(ただち)全日本国軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ(かつ)右行動ニ於ケル同政府ニ対(たいする)ノ誠意ニ付(つき)適当且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ対シ要求ス右以外ノ日本国ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス
この文章をよく読めば分かる事ですが、日本に対して連合国側が求めていた事は、あくまでも「全日本国軍隊の無条件降伏」=日本軍の武装解除であって、決して国家の無条件降伏では無い訳です。実際に、日本は占領軍(米軍)の進駐と、その占領軍を統括したGHQ(連合国軍総司令部)の管理監督下に置かれはしましたが、当時、国家元首であった昭和天皇は引き続き在位し、政府も帝国議会も解散される事無く存在し続け、首相も日本側が選出しました。詰(つ)まり、当時の日本は戦力を凍結されただけで、国家自体は存続し続けた訳です。この様に、日本はあくまでも『ポツダム宣言』第13項に遵(したが)って武装解除には応じましたが、決して「無条件降伏」等していなかった訳です。とは言え、その後のGHQによる行き過ぎた占領行政(所謂(いわゆる)『神道指令』や、『ハーグ陸戦法規』に抵触する『日本国憲法』の制定等)や、国際法に違反した「東京裁判」に見られる被占領国としての多くの苦難から、「無条件降伏」したと思われている事も確かです。そこで、今度は第13項以外の『ポツダム宣言』各項を見乍ら、考えて見る事にしましょう。

   『ポツダム宣言』
十 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜(ふりょ)ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙(しょうがい)ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ
第10項では、日本人の地位(身柄)に対する「保障」と、言論・宗教・思想及び基本的人権の尊重について謳(うた)っています。

   『ポツダム宣言』
十二 前記諸目的ガ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ(したがい)平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於(おい)テハ聯合(れんごう)国ノ占領軍ハ直(ただち)ニ日本国ヨリ撤収セラルベシ
第12項では、一定の条件が満たされた時点で、占領軍が日本から即時撤収する旨謳っています。その上で、問題の第13項を改めて見てみましょう。

   『ポツダム宣言』
十三 吾等ハ日本国政府ガ直ニ全日本国軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ニ対ノ誠意ニ付適当且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ対シ要求ス右以外ノ日本国ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス

詰まり、「軍隊の無条件降伏」を日本が呑めば、連合国側は「適当且充分なる保障を(日本に)提供する」と条件を提示している訳です。これは、「無条件降伏」どころか、逆に「有条件降伏」と言った方が良い代物(しろもの)である事が分かります。

「無条件降伏」と言うのは「問答無用」と言う事であり、敗北した日本に対して連合国側が、煮ようが焼こうが ── 詰まり、植民地化しようが民族絶滅させようが、どの様な好き勝手な処分をしても良い、と言うニュアンスが込められている場合を言う訳で、条件Aを呑めばBを保障する、と言ったニュアンス(交換条件)が込められている『ポツダム宣言』は、どう読んだ所で、「有条件降伏」を日本に提示している訳です。その点では、ヒトラー総統が自決に際し、自らの後継者(首相兼国防軍総司令官)にカール=デーニッツ海軍司令長官を指名、新政権を樹立させたものの、連合国側が新政権を承認せず、「国家が消滅」した状態で降伏したドイツよりも、余程(よほど)、好条件だったと言えます。

上の点を踏まえた上で、私が言いたい事は、先の大戦に際して、日本は決して「無条件降伏」した訳では無い、

名誉ある敗戦

を受け入れたのだ、と言う事を充分認識した上で、「日本の戦争」を回顧すべきであり、決して一戦に敗北した程度で卑屈になる必要等無い、自虐史観の呪縛に囚(とら)われる必要等無い、もっと自らの民族・国家に自信を持て、と言う事なのです。(了)


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