Reconsideration of the History
186.米国議会「対日従軍慰安婦決議」には、「原爆使用問責決議」を以て対抗すべし (2007.7.16)

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成19(2007)年6月27日(日本時間)、米国議会下院外交委員会で一つの決議案が採択されました。その名を『下院121号決議案』(以下、「慰安婦決議」と略)と言います。テレビや新聞でも大きく取り上げられ、皆さんもご存じの事と思いますが、これは先の大戦に於ける所謂(いわゆる)「従軍慰安婦」問題に対し、日本政府が明確な謝罪をすべし、と言った内容(本小論末尾に決議案全文を掲載)のものであり、この決議案は賛成39、反対2の圧倒的多数で採択されました。

米下院外交委「慰安婦」決議を採択…日本政府に謝罪要求

6月27日11時13分配信 読売新聞

【ワシントン=五十嵐文】米下院外交委員会は26日午後(日本時間27日未明)、旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦問題で日本に公式な謝罪を求める決議案の修正案を賛成39、反対2の賛成多数で採択した。

 ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は決議案採択後、「本会議で採択し、強いメッセージを発したい」とする声明を発表した。決議案が7月中にも本会議で採択されるのは確実な情勢となった。

 決議案の修正案は民主党のトム・ラントス外交委員長と、共和党のイリアナ・ロスレーティネン筆頭理事が提出した。安倍首相が4月の訪米時に元慰安婦へのおわびを表明したことなどを踏まえ、原案が要求した「日本国首相の公式の声明としての謝罪」を、「首相が公式な声明として謝罪すれば、これまでの声明の誠意に関し繰り返される疑問を晴らすのに役立つだろう」とやや表現を弱め、日米同盟の重要性を指摘する文章も新たに追加した。

(Yahoo!ニュースより引用)

マイク=ホンダ(さて)、件(くだん)の「慰安婦決議」ですが、私に言わせれば、この様な決議案を採択した米国議員の良識や神経を疑いますし、彼らが「正しい歴史認識」を持ち合わせているのか?すら疑ってしまいます。抑(そもそ)も、この決議案上程・採択に主導的役割を果たした日系三世のマイク=ホンダ議員(カリフォルニア州選出・民主党:左写真)の選挙区には、コリアン系市民が比較的多く、多分に彼らの票を取り込む為の戦略だった事は否めません。又、彼が支那系反日市民団体「世界抗日戦争史実維護連合会」から政治献金を受け続けている事も、「慰安婦問題」を「歴史的真実の追究」としてよりも、寧(むし)ろ「政治的材料」として扱った事の証左と言えます。更に言えば ── 私個人は到底承伏出来ない事ですが ── 平成5(1993)年、当時の河野洋平・内閣官房長官(彼は村山富市・元総理と共に、歴史的事実を無視して日本を貶めた国賊の筆頭)が「従軍慰安婦」問題に関する談話(通称「河野談話」)を発表して以来、日本は歴代の総理が幾度と無く反省や謝罪を口にしてきました。詰まり、日本は政府をして、旧日本軍が「従軍慰安婦」に関わった責任の有無 ── 歴史的事実であったか否かと言う点 ── を棚上げにした上で、反省や謝罪を表明してきた訳で、今回の「慰安婦決議」はそう言った経緯を全く無視しており、評価にも値しない代物と言えます。実際、日本では近年、「従軍慰安婦」に関する調査研究が進んでおり、その結果、旧日本軍が外地や占領地に於いて現地の子女を拉致連行し「従軍慰安婦」にした、と言う証拠が全く見つからず、軍部が「管理」したとすれば、それは唯、「従軍慰安婦」と性交渉を持つ将兵が所属部隊に性病を含む疾病を持ち帰らない様な施策を採った(コンドーム着用の徹底等)程度だったであろうと言われています。(余談だが、昔のコンドームは現在の「極薄タイプ」とは異なり分厚かった為、将兵からは敬遠されていたと言う) 又、以前の小論でも指摘した事ですが、「従軍慰安婦」は日本人女性の比率が圧倒的に多く、中には当時の日本の総理よりも稼いだと言われる程の高給取りもいた訳で、「従軍慰安婦」=「性奴隷」と言う図式自体が抑も成立しない事は明白です。(若(も)しも、「従軍慰安婦」が本当に拉致連行された「性奴隷」だったのだとすれば、戦後、何故、圧倒的に多かった日本人慰安婦達が、国を相手取って損害賠償請求を起こさなかったのだろうか? その事の方が不思議である) 詰まり、今回の「慰安婦決議」は繰り返しになりますが、「正しい歴史認識」を持たない ── 「従軍慰安婦」の実態を知らない ── 米国議員達の一種「妄想の産物」であり、この様な決議は取るに足らない代物である訳です。ましてや、他国(米国)の一決議に、日本が法的に拘束される筋合いは全く無い訳ですから、無視すれば良い、唯それだけの事です。とは言え、一方的に「言われっぱなし」というのも癪(しゃく)ですので、今回、一日本国民として私も、国会議員の方々に一つの提案をしたいと思います。

が一日本国民として国会議員の方々に提案したい事とは、ずばり、

広島・長崎への原爆投下に関する米国政府の公式な謝罪

要求決議の採択です。原爆投下により、広島で約14万人(昭和20年12月末現在)、長崎では約7万4千人(同)が亡くなり、生存者(胎内被爆者を含む)の中にも、戦後60年を経た現在も後遺症に苦しむ人々が多くいます。然(しか)し、米国は原爆投下直後から今日に至る迄、唯(ただ)の一度も公式な謝罪をしていません。いや、反省の弁すらありません。米国は「従軍慰安婦」が人道上許されざる著しい人権侵害であるとして、今回、日本に「改めて」謝罪を要求した形ですが、ならば、原爆投下は人道上許されざる著しい人権侵害では無いのか? 私は米国による原爆投下こそ、先の東京裁判に於いて、東条英機・元総理を含む所謂「A級戦犯」を裁く目的で初めて持ち出された「人道に対する罪」に該当する明確な「戦争犯罪」であったと断言します。

トルーマン 島・長崎と言う二大都市に対する原爆投下を命令した米国大統領・トルーマン(右写真)は引退後、斯(か)くの如(ごと)く述べています。曰(いわ)く、

「米軍による日本本土上陸作戦が実行されていたならば、50万人もの米兵が戦死したであろう。それを抑止し、戦争を早期終結させる為に、原爆投下は必要不可欠であった。」

と。然し、これ程の欺瞞(フェイク)も無い。又、記憶にも新しい6月30日の久間防衛相の発言

米の原爆投下「しょうがない」=ソ連参戦防ぐため−久間防衛相

6月30日13時2分配信 時事通信

 久間章生防衛相は30日午前、千葉県柏市の麗澤大学で講演し、米国の広島、長崎への原子爆弾投下が日本の無条件降伏につながり、ソ連の北海道侵略・占領を防いだと指摘した上で「(原爆で)本当に無数の人が悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今しょうがないなと思っている」と述べた。

 久間氏は長崎県出身。原爆投下を一定評価した発言ともとれるだけに、波紋を広げそうだ。

 久間氏は当時の戦況について「(米国は)日本が負けると分かっているのに、あえて原子爆弾を広島と長崎に落とした。そこまでやったら日本も降参し、ソ連の参戦を止めることができるということだった」と説明した。

(Yahoo!ニュースより引用)

あれも欺瞞であり、とんでもない勘違いでしかありません。間もなく、日本が降伏すると分かってい乍(なが)ら、昭和20年8月6日午前8時15分、広島にウラン型原爆「リトルボーイ」=「チビ」を投下した。そして、その被害が甚大であった事を百も承知の上で、更にその3日間、8月9日午前11時2分、長崎にプルトニウム型原爆「ファットマン」=「デブ」を投下した。両都市への原爆投下により、実に20万人もの人々が殺戮された訳です。然も、投下からほんの一瞬でです。戦時国際法である『陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約』 ── 所謂『ハーグ陸戦法規』 ── の条約附属書『陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則』第23条および第25条には斯くの如く謳(うた)われています。

   陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則
第23条(禁止事項)
 特別ノ条約ヲ以テ定メタル禁止ノ外、特ニ禁止スルモノ左ノ如シ。
 イ 毒又ハ毒ヲ施シタル兵器ヲ使用スルコト
 ホ 不必要ノ苦痛ヲ与フヘキ兵器、投射物其ノ他ノ物質ヲ使用スルコト
第25条(防守されない都市の攻撃)
 防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ、之ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス。

原爆投下以前の「原爆ドーム」広島・長崎が軍事都市の性格を帯びていた事は私も否定しません。然し、飛行場(航空隊基地)や軍港、部隊駐屯地と言った軍事戦略目標への攻撃ならいざ知らず、軍事・非軍事、軍人・一般市民の区別無く、都市全体への無差別攻撃、然も「残虐なる超兵器」による攻撃となれば話は全く別です。前掲の第25条では、非軍事目標に対する攻撃を禁止しており、内務省中国四国土木事務所を含む公的機関が入っていた広島の「原爆ドーム」(爆心地、旧広島県産業奨励館:右写真=原爆投下以前)や、長崎の浦上天主堂(爆心地至近)は、どう転んでも軍事攻撃目標足り得ません。又、第23条イ項では毒ガス兵器、ホ項では投射物その他の物質を用いた兵器の使用を禁じており、『ハーグ陸戦法規』が署名された明治40(1907)年には例え存在していなかったとは言え、第23条のイ項・ホ項を上回る威力を有する原爆 ── 文字通り「大量殺戮兵器」 ── を実戦使用した事は、『ハーグ陸戦法規』に対する明確な違反行為です。米国は、日本が「人道に対する罪」を犯したとして東京裁判で裁きましたが、寧ろ、

米国による原爆投下こそ、人道に対する罪

では無いのか? 何故、その様な「戦争犯罪」が容認され、戦後60年を経た今尚、裁かれずにいるのか? その事の方が大きな問題であると思っています。そして、その比は「歴史的事実」とは到底言えない「従軍慰安婦」を遙かに凌駕(りょうが)するものなのです。

り返しますが、トルーマンは、

「米軍による日本本土上陸作戦が実行されていたならば、50万人もの米兵が戦死したであろう。それを抑止し、戦争を早期終結させる為に、原爆投下は必要不可欠であった。」

ドワイト=アイゼンハワーと嘯(うそぶ)きました。然し、果たして原爆投下が本当に戦争の早期終結に必要不可欠だったのか? 米兵予想戦死者50万人の生命を救う為に、原爆による死者20万人もの犠牲が必要だったのか? 否、それは嘘です。

例えば、ガー=アルペロビッツ氏の著書『原爆投下決断の内幕』には、後に米国第34代大統領となるドワイト=アイゼンハワー連合軍最高司令官(右写真)が、ヘンリー=ルイス=スティムソン陸軍長官から原爆投下の決定を知らされた時の驚きが、斯くの如く記述されています。

「その晩、我々が夕食の為に集まった士官室は水を打った様に静かだった。原爆を落とさなくても敵(日本)が降伏し和平を求めて来るであろう事は、皆分かっていた。広島を無用に破壊する事を思い、辺りには悲壮な雰囲気が漂っていた。遂に、士官の一人が沈黙を破った。「何故だ?」
戦争が終わり、故郷に帰ってこの話をすると、人々は全く信じられないと言いたげに私の方を見た。誰も彼も、広島・長崎への原爆投下は戦争を終結させる為に不可欠であったと言うマスコミや政府の発表をすっかり信じ込んでいる様だった。」

終戦直前当時の米軍首脳部に於いては、日本海軍が壊滅し、残る日本陸軍も主として本土に「籠城(ろうじょう)」している様な状況下に於いては、米国が原爆投下せず共、日本が早晩降伏する事は確実と言う考え方が一般的であり、又、昭和20年6月15日に米軍統合戦争計画委員会が、トルーマン大統領に提出した日本本土上陸作戦に於ける米軍戦死者の試算も、トルーマンが後に述べた50万人では無く、その十分の一以下の4万人でしか無かった(然も、この数字が最大値である事に留意)訳で、原爆を広島・長崎に投下(実戦投入)しなければならない必要性は全く無かった訳です。又、「久間発言」 ── 米国の原爆投下が日本の無条件降伏に繋(つな)がり、ソ連の北海道侵略・占領を防いだ ── に付いても、きちんと指摘しておかねばならない点があります。

軍部内に於いて、原爆を実戦投入せず共、日本が間もなく降伏すると言う認識があった、と前述しましたが、では、ソ連の北海道への侵略・占領を阻止したと言う点はどうか? 確かに、昭和20年8月8日にソ連が対日参戦し、満洲から朝鮮、南樺太、千島列島全域へ次々と占領地を広げていく状況に於いては、一日々々が文字通り、一分一秒にも匹敵するものであった事は否めません。日本の降伏が一日、又一日と遅れれば遅れる程、ソ連軍の南侵が進み、千島・樺太から北海道、津軽海峡を越えて東北地方へと占領地が拡大し、戦後、朝鮮半島の様な南北分断国家に日本がなっていたかも知れない。それは事実です。然し、抑もソ連の対日参戦を促したのは、他でも無い米国自身です。詰まり、米国が昭和20年2月のヤルタ会談に於いて、千島・樺太の引き渡しを山車(だし)に、ソ連に対日参戦する様、唆(そそのか)した訳で、いざ、ソ連が対日参戦し、千島・樺太を占領すれば、その余勢を駆って北海道・東北地方をも侵略するであろう事は、最初から予測出来た事です。それをいざ、ソ連が対日参戦した段になって、戦争の早期終結とソ連軍の北海道侵攻を阻止する目的で米国が原爆投下したとして、果たしてその行為自体を正当化出来るのか? ソ連を対日戦争に引き込んでおき乍ら、いざとなったらソ連を排除する目的で原爆を投下する。然も、投下されたのはソ連では無く、他でも無い日本。これはどう見ても、米国の身勝手から発した行為でしか無い訳で、それを、原爆を投下された側の日本の、然も防衛大臣で、且つ、被爆地長崎出身の久間氏が擁護・迎合したとなれば、その責任は到底免れないでしょう。繰り返しますが、広島・長崎への原爆投下は、米国の身勝手から発した行為であり、戦争犯罪です。それを擁護す可(べ)き理由は全く無いのです。

ころで、終戦直前の米軍部の認識とは異なり、大多数の米国民はトルーマンや米国政府が喧伝した「原爆の実戦使用が、戦争の早期終結を促した」と言う認識を、今尚、信じて疑っていません。実際、久間防衛相の発言に端を発した「原爆論議」に対し、7月3日、ロバート=ジョゼフ・米国核不拡散担当特使が、米国の原爆使用を正当化する発言

<原爆投下>米高官が正当性強調

7月5日 0時48分 毎日新聞

【ワシントン坂東賢治】米政府のロバート・ジョゼフ核不拡散担当特使(前国務次官)は3日、広島、長崎への原爆投下について「原爆の使用が戦争を終わらせ、連合国側の数十万人の命だけでなく、数百万人の日本人の命を救ったことにほとんどの歴史家が同意すると信じている」と述べ、正当化できるとの考え方を強調した。

 米露両国の核不拡散協力などに関する記者会見で「原爆を投下し、数十万人の命を奪ったことは極めて無責任な科学技術の使用ではなかったか」、「米国が核不拡散を主導する権利があるのか」との質問に答えた。久間章生前防衛相の発言と直接、関係する質問ではなかったが、ジョゼフ氏は「質問の前提に基本的に同意しない」と述べた上で、正当化論を展開した。

 ジョゼフ氏はさらに「米国は他国と共に不拡散をリードしてきたし、今もロシアとイランや北朝鮮のような国家への核不拡散について多くのイニシアチブを発揮している」と述べ、核不拡散に対する米国の立場に疑問はないとの立場を強調した。

 米国内にはジョゼフ氏のような考え方が広く浸透している。米政府はこれまで原爆使用について謝罪したことはない。

 ◇安倍首相が批判

 安倍晋三首相は4日夜、米国のジョゼフ核不拡散問題担当特使(前国務次官)が記者会見で広島、長崎への原爆投下について「何百万もの日本人の命がさらに犠牲になるかもしれなかった戦争を終わらせた」と述べたのに対して、「原爆が投下され、多くの無辜(むこ)の命が奪われ、たくさんの被爆者が後遺症に戦後も苦しんできた。原爆投下は許すことができない気持ちに変わりはない」と強調した。

 また、塩崎恭久官房長官は記者会見で「原爆投下は、国際法の思想的な基盤にある人道主義の精神に合致しないとの立場を日本政府としては取っている」と指摘した。

 坂場三男外務報道官も記者会見で「原爆投下はいかに悲惨なものだったかに思いをはせてほしい。その点の発言がなかったことは残念だ」と不快感を表明した。

 同日、首相官邸を訪れた広島市の秋葉忠利市長も記者団に「米政府はずっとそういうことを言っているが、米国を含めて歴史学者の定説とは大きく違っている。米政府首脳も広島、長崎についてもっと深く理解すべきだ」と厳しく批判した。【佐藤丈一】

(Exciteニュースより引用)

をしている訳で、原爆投下を巡る日米両国間の認識の乖離(かいり)には甚(はなは)だしいものがあります。何の罪も無い女・子供 ── 正に無辜の民 ── を大量殺戮しておき乍ら、その行為に正当性がある、と言う米国の「歴史認識」はどう考えても間違っていますし、正されなくてはならない。「米国の常識」が必ずしも「世界の常識」とは限らない。寧ろ「世界の非常識」である事の方が多いのです。米国が「歴史的事実」を何ら考慮する事無く、日本に対し「従軍慰安婦」問題で反省や謝罪を強(し)いる姿勢に対し、日本政府は粘り強く事実を説明し理解を求めていくスタンスの様ですが、それでは余りにも手緩(ぬる)い。「歴史的事実」で無い事に付いては相手(米国)の不興を買おうが何しようが、明確に反論し、突き付けられるであろう決議を突っぱねる。その上で、日本は疑う可くも無い「人道に対する罪」=原爆投下に付いて、米国に対し、執拗に反省と政府による公式な謝罪を要求していく。それは「歴史認識」の激突であり、文明の衝突であるのかも知れません。然し、それを避けていては、日本の、そして、米国の「戦後」は何時迄(いつまで)(た)っても終わりやしません。何時か何処(どこ)かでケリをつけねばならない問題であるのです。そして、その好機は戦後60年=還暦を過ぎた今では無いのか? 敵対関係にあった日米両国が今後も同盟関係を維持していくのならば、この事にきちんとけじめを付け、過去を清算した上で未来へ進む可きでは無いのか? 以上、米国議会での慰安婦決議や、久間防衛相の原爆発言を通じて、私が感じた事を忌憚(きたん)無く書きましたが、はてさて、皆さんは如何感じられたでしょうか?


◇参考資料

下院121号決議案(和訳全文)

 日本政府は1930年代から第2次世界大戦期間に、「慰安婦」と呼ばれる若い女性を日本軍に性的サービスを提供する目的で動員することを公式に委任した。日本政府による強制の軍隊売春制度「慰安婦」は、集団の性的暴行や強制流産、辱(はずかし)め、身体の切断や死亡、究極的に自殺を招いた性的暴行など、残虐性と規模で前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつだ。

 日本の学校で使われている新しい教科書は、慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の日本の戦争犯罪を縮小しようとしている。

 日本の公共、民間の関係者は、慰安婦の苦しみに対する政府の真剣な謝罪を盛り込んだ1993年の河野洋平官房長官の慰安婦関連談話を希釈したり撤回しようとする意図を示している。

 日本政府は、1921年に女性と児童の人身売買を禁止する条約に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響に関する国連安全保障理事会決議1325号も支持している。

 下院は、人間の安全と人権、民主的価値、法律の統治や安保理決議1325号への支持など、日本の努力を称賛する。

 日米同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益の礎で、地域安定と繁栄の根本だ。

 冷戦以降、戦略的な環境の変化にかかわらず、日米同盟はアジア太平洋地域で政治・経済的な自由と人権、民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保などを含む共同の核心利益と価値に基盤を置いている。

 下院は、日本の官僚や民間人の努力で1995年に民間レベルのアジア女性基金が設立されたことを称賛する。アジア女性基金には570万ドルが集まり、日本人の贖罪(しょくざい)を慰安婦らに伝えた後、2007年3月31日付で活動を終了した。

 以下は米下院の共同意見。

  1. 日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。
  2. 日本の首相が公式声明を通じ謝罪すれば、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。
  3. 日本政府は、日本軍が慰安婦を性の奴隷として人身売買を行った事実は決していないとする主張を、明確に、公開的に行わなければならない。
  4. 日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育を行わなければならない。


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