Reconsideration of the History
187.拝啓 ペロシ米国下院議長殿。これでも日本軍の「性犯罪」を糾弾出来るのですか? (2007.8.15)

前のページ 次のページ


ナンシー=ペロシ米国議会下院議長成19(2007)年6月27日(日本時間)に米国議会下院外交委員会を通過し、同月31日未明(日本時間)米国議会下院に於いて、ほぼ全会一致に近い形で採決された『対日従軍慰安婦決議』。参議院選挙で大敗した与党・安倍晋三政権に追い打ちを掛ける形となったこの決議により、「日米同盟」の綻(ほころ)びを見たのは私一人では無かった筈です。その後、選挙に大勝し参議院に於いて第一党となった民主党の小沢一郎党首が『テロ対策特別措置法』の延長に明確な反対を表明し、シーファー駐日米国大使が小沢党首と直談判し翻意を促したものの、小沢党首は頑として受け付けず、と言ったやりとりが為されたのはほんの一週間前の事です。まあ、小沢党首がどう出るのかは、「政治の世界は一寸先は闇」との諺(ことわざ)もありますし、騙(だま)し騙されるのが「政治家」ですから、最終的に裏技を使う事も考えられますが、事実に即さない情報を元にした『対日従軍慰安婦決議』を可決し、旧日本軍の名誉を著しく傷付け、更には日本の与党政権を自ら窮地に追い込み、すんなり可決出来ない状況をわざわざ作っておき乍(なが)ら、『テロ対策特別措置法』の延長を求める・・・米国も随分と身勝手なものです。(蛇足だが、どうも日米共に「民主党」が勢いを増すと、「日米同盟」に悪影響を及ぼす様だ) ところで、今回、米国議会下院が採決した『対日従軍慰安婦決議』。いかにも「正義の味方」然とした米国のやりそうな事ですが、「何の罪も無い無垢(むく)な女性達を強制連行し、兵士達の性の捌(は)け口にした」と言う旧日本軍に対し、米軍は全くその様な「悪行」を働いた事が無かったのか? いやいや、そんな事はありません。と言う訳で、今回は8月15日、終戦記念日と言う事もあるので、「従軍慰安婦」問題での旧日本軍の潔白と、同時に米軍の犯してきた「性犯罪」について、女性であり米国議会下院議長であるナンシー=ペロシ女史(右上写真)に「捧げる」形で、小論を書いてみたいと思います。

「従軍慰安婦」(以下、「慰安婦」と略)── と言うと、イコール旧日本軍と言う公式が今や一人歩きしている様ですが、それが事実で無い事を証明するニュースが今春明らかとなりました。

占領時、米軍も「慰安婦」調達を許可 ホンダ議員「旧日本軍は強制」言明

【ワシントン=古森義久】終戦直後の日本国内で占領米軍の許可により売春施設が多数、開かれ、日本人「慰安婦」数万人が米軍に性の奉仕をして、その中には強制された女性もいたことが米側にいまになって伝えられ、米議会下院に慰安婦問題で日本を糾弾する決議案を出したマイク・ホンダ議員は(2007年5月)4日、議会調査局に調査を依頼した。しかし同議員は戦争中の日本の慰安婦は旧日本軍が政策として一様に拘束し、強制した女性ばかりだった点が米軍用慰安婦とは異なると述べた。

 AP通信の4日の報道によると、終戦直後の1945年9月、日本当局が占領米軍からの許可で東京都内などに多数の米軍用の売春施設を開き、合計数万人の日本人「慰安婦」が雇用、あるいは徴用されたことを証する日本側書類が明るみに出て、ホンダ議員は米軍用慰安婦に関して米軍自体がどんな役割を果たしたかなどの調査を議会調査局に依頼したという。

 同議員は自らが追及している戦時中の日本軍用の慰安婦と戦後の米軍用の慰安婦の比較について「日本軍の慰安婦は日本帝国軍隊の政策として性的奴隷という目的のために少女や女性を拘束し、強制し、拉致したのだから、米軍のそれとは異なる」と語った。

 AP通信は4月26日、東京発で米占領軍が進駐直後、日本の政府や旧軍当局に売春婦の調達や売春施設の開設を許可した一連の日本語書類が発見されたと報じ、その内容として(1)1945年8月末から9月にかけ、米軍の許可を受けて日本政府の内務省などが東京はじめ茨城県などの地方自治体に「慰安婦」集めを指示し、合計7万人以上の女性が売春に従事した(2)米軍当局はそれら女性の一部は強制徴用されたという報告があることを知りながら、慰安所開設を認め、連日連夜、米軍将兵が詰めかけることを許した−と報道した。同報道はこの米軍慰安所にかかわって当時の日本側関係者数人を実名で紹介し、その談話をも引用した。

 しかしこれら日本の米軍用慰安所は連合軍最高司令官のマッカーサー元帥の命令で1946年3月末には閉鎖されたという。

 日本側でも終戦直後に米軍から売春施設開設を許可されたことについては旧日本軍が米軍進駐受け入れの準備組織として結成した「有末機関」のメンバーたちの証言が残っている。このように軍隊に売春という組み合わせは旧日本軍に限らず、米軍も同様だったわけだが、ホンダ議員らは旧日本軍の慰安婦はみな「帝国の軍隊の政策として」強制徴用された点が日本側一般とは異なると言明している。

(産経新聞 2007年5月5日 21:43)

詰まり、旧日本軍の専売特許の如(ごと)く扱われていた「慰安婦」を米軍も使っていた事が白日の下に晒(さら)された訳です。然(しか)も、

日本人「慰安婦」数万人が米軍に性の奉仕をして、
その中には強制された女性もいた

マイク=ホンダ詰まり、米国が糾弾して止まない「強制連行」によって「慰安婦」とされ、米兵達の性の捌(は)け口に供された女性達もいた訳で、彼らが公式な反省と謝罪、更には明確な補償を求めている日本のケースと一体何処がどう違うのか? 同じではないのか? 同じ事をしておき乍ら、自分たちは今迄、公式な反省と謝罪、更には明確な補償をしてきたのか? 答えは全て否(いな)です。このニュースに対し、『対日従軍慰安婦決議』の上程・可決に主導的役割を果たしたマイク=ホンダ議員(左写真)は、

戦争中の日本の慰安婦は旧日本軍が政策として一様に拘束し、
強制した女性ばかりだった点が米軍用慰安婦とは異なる

と嘯(うそぶ)きましたが、上記のニュースから僅か一週間後には、更に彼らにとって「不都合な真実」がニュース配信されたのです。

「民間が慰安婦集め」 米軍調査「日本軍は利益得ず」

【ワシントン=古森義久】戦時の日本軍の慰安婦に関して、日本側の民間業者が慰安婦候補とした女性家族にまず現金を支払って彼女らを取得していたことを示す米陸軍の調査報告書があることがわかった。報告書は、この業者が朝鮮で商業利益を目的に慰安婦の徴募に直接あたっていたことを示し、現在の米側の一部の「日本軍が女性を組織的に強制徴用していた」という主張とは異なる当時の実態を明らかにしている。

 報告書は米国陸軍の戦争情報局心理戦争班により第二次大戦中の1944年9月に作成された。「前線地区での日本軍売春宿」と題され、同年8月にビルマ(現ミャンマー)北部のウェインマウ付近で米軍に拘束された日本人の慰安所経営者(当時41歳)の尋問結果が主に記録されている。

 この経営者は、日本人の妻(同38歳)と朝鮮女性の慰安婦20人とともに米軍に捕まった。この慰安婦の尋問結果をまとめた報告書は別に存在し、日米両国の研究者などの間で参照されてきたが、経営者だけについての報告書は公開の場で論じられることが少なかった。

 報告書によると、経営者は朝鮮のソウルで妻とともに食堂を開き、ある程度の利益を得ていたが、景気が悪くなり、新たに収入を得る機会の追求としてソウルの日本軍司令部に慰安婦を朝鮮からビルマに連れていくことの許可を求めた。この種の提案は朝鮮在住のほかの日本人ビジネスマンたちにも軍から伝えられていたという。

 同経営者の慰安婦集めについては「彼は22人の朝鮮女性に対し個々の性格、外見、年齢による区分で1人あたり300円から1000円の金をまずその家族たちに支払い、取得した。22人の女性は年齢19歳から31歳までで、経営者の占有する資産となった。日本軍は(この取得から)利益は得ていない。ソウルの日本軍司令部は同経営者に対し(ビルマまでの)ほかの日本軍各司令部あてに輸送、配給、医療手当などの必要な援助を与えることを認めた書簡を与えた」と記している。

 このように報告書では、この慰安婦採用の過程については日本軍が「許可」あるいは「提案」したとされ、経営者の女性集めはすべての個々人に現金をまず渡していることが明記され、「日本軍が女性たちを組織的に強制徴用して性的奴隷化した」というような米国議会の決議案の解釈や表現とはまったく異なる事情を伝えている。

 報告書によると、この日本人経営者は妻や22人の朝鮮女性とともに1942年7月10日に釜山を船でたち、台湾、シンガポール経由で同8月20日にビルマの首都ラングーン(現ヤンゴン)に到着した。女性たちはその後、北部のミッチナ(当時の日本側の呼称はミイトキーナ)地区の日本軍歩兵114連隊用の慰安所に送られたという。

(産経新聞 2007年5月12日 03:27)

詰まり、『対日従軍慰安婦決議』の柱共言える「旧日本軍による強制連行」と言う大前提が、このニュースによって脆(もろ)くも崩壊してしまった訳です。然も、そのニュースソースは、あろう事か、米国陸軍戦争情報局心理戦争班による報告書。それでも、旧日本軍による「慰安婦」を糾弾すると言うのであれば(然し、結果的にこの「不都合な真実」が明るみに出たにも関わらず、6月31日、米国下院は可決したのだが)、それは詰まり、米国陸軍が嘘の報告書を作成した、と言うに等しい事であり、言うなれば、自己否定と言っても過言では無い訳です。此処(ここ)迄来ると、最早(もはや)

米国はパラノイア(偏執病)

症状:
(1)被害妄想 ─ 挫折・侮辱・拒絶等への過剰反応、他人への根強い猜疑心
(2)誇大妄想 ─ 数を誇大に示したり、大袈裟な表現を好む等
(3)激しい攻撃性 ─ 誹謗中傷、大勝利の連呼等
(4)自己中心的性格
(5)異常な独占欲

としか言い様が無い訳で、この様な国と「同盟関係」を持っている日本と言う国家そのものの品位さえ疑われかねない、いや、既に疑われている、と思うのは私一人ではないでしょう。

(さて)、此処迄は所謂(いわゆる)「慰安婦」に関する話でしたが、話を終戦直後の沖縄に移したいと思います。沖縄は先の大戦に於いて、日本本土(朝鮮・台湾と言った総督府治下の外地では無いと言う意味での「本土」)で唯一、地上戦に巻き込まれ、米軍による占領と直接統治を受けた地域ですが、その沖縄で戦後、父親の名前すら分からない「父無し子(ててなしご)」、然も、混血児の出生が続出した事を皆さんはご存じでしょうか? 何故(なぜ)、父親の名前が分からないのか? それは、沖縄に上陸した米軍の兵士達が、現地の女性を強姦(レイプ)したからです。言い方は悪いかも知れませんが、

やり逃げ

です。強姦しただけならまだしも、中には暴行され半死半生(はんしはんしょう)、いや惨殺された女性達もいたのです。「悪名高い」旧日本軍による「慰安婦」が、曲がりなりにも「肉体の供出」の対価として金品を受け取っていた事と比較しても、その悪行たるや歴然としたものがあります。そして、米兵による強姦の結果、この世に生を受けたのが件(くだん)の混血児だった訳です。今のご時世、国際結婚も珍しくありませんし、ハーフやクォーターと言うと多少なり共、持て囃(はや)されますが、60年前の日本では、混血児に対する偏見や差別は現在とは比べようも無い程、酷(ひど)いものでした。それが、愛し愛された結果ならいざ知らず、父親が何処の馬の骨とも分からない敵国「鬼畜米英」の兵士共なれば、出産した女性達、そして、生まれてきた子供達の心中は察するにあまりあります。そして、この様な事案は、戦後62年を経過した今現在も、沖縄の何処かで実際に起こっている事なのです。(詳しくは、高里鈴代・宮城晴美両氏作成「米兵による戦後沖縄の女性に対する犯罪」をご覧頂きたい。)

トム=ラントス
Those who posit that all of the comfort women were happily complicit and acting
of their own accord simply do not understand the meaning of the word rape.
(慰安婦達は喜んで自発的に協力したと断定する人々は、
レイプと言う言葉の意味を理解していないだけだ。)

これは、マイク=ホンダ下院議員と共に、『対日従軍慰安婦決議』の上程・可決を推進したトム=ラントス下院外交委員会議長(上写真)の発言ですが、私からすれば、

そっくりそのまま熨斗(のし)を付けてお返しする!!

米韓連合軍によって捕らえられた北朝鮮の看護婦2名
米韓連合軍によって捕らえられた北鮮の看護婦2名(当時逮捕された北鮮女性の一部は強姦される等、強制で慰安婦になった。)
程、無知で恥知らずな発言としか言い様がありません。呆(あき)れるとはこう言う事を言うのでしょう。米軍の「性犯罪」は、何も沖縄だけが舞台ではありません。韓国政府に対して、在韓米軍兵士の為の慰安所 ── 首都ソウル近傍の「ウォーカーヒル」等 ── の設置を指示し、実際に其処(そこ)で、韓国人慰安婦が米兵に「肉体を供出」した事は、紛れも無い事実ですし、朝鮮戦争(右写真参照)、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争、何(いず)れの戦地に於いても、米兵が現地女性を強姦した事案が見られるのです。又、全世界にニュース配信され、米軍の失墜を象徴付けた、イラクはアルグレイブ刑務所に於ける捕虜虐待 ── 捕虜を全裸にした上で破廉恥な行為を強要したり、理由も無く拷問に掛け、最後には惨殺された者もいた ── や、キューバのグアンタナモ米軍基地に於ける米国内法・国際法を無視した拘束者に対する違法行為


見よ。これが、イラク・アルグレイブ刑務所での米兵による蛮行の証拠写真だ!!
(大の男を全裸にして女兵士がちゃらけたこの軍紀で、「世界の警察官」とは笑わせるにも程がある)
イラク・アルグレイブ刑務所での米兵による蛮行の証拠写真 イラク・アルグレイブ刑務所での米兵による蛮行の証拠写真

(か)くの如き米軍、そして、その米軍を擁する米国は到底罪を免れ得ない訳で、これらの事案一つ一つに対して明確な「総括」 ── 国家としての反省と謝罪、そして、明確な補償 ── が為されない限り、幻想であり単なる「神話」でしか無い「旧日本軍による蛮行としての従軍慰安婦」問題を、どうこう糾弾出来る権利は万に一つも無い訳です。江戸っ子になら、

おととい、来やがれ!!

と毒付かれるであろう、それが現在の米国なのです。

アル=ゴア前米国副大統領 球温暖化問題で国際社会に背を向け、経済優先・資源浪費政策を優先してきた米国にあって、アル=ゴア前副大統領(右写真)が祖国米国に突き付けた『不都合な真実』。その『不都合な真実』にも匹敵する米軍による過去から現在に至る「性犯罪」(「性犯罪」以外にも多種多様な犯罪行為が見られる)。その「総括」を、言われ無き「慰安婦」問題により、著しく名誉を貶(おとし)められた日本の一国民として、私は強く求めますし、特に、女性として初めて米国議会下院の議長に就任、今回の『対日従軍慰安婦決議』を強く支持したナンシー=ペロシ女史に対しては、米軍が犯してきた「性犯罪」に対しても、徹底的な究明と弾劾の矛先を向けられる事を強く求めたいと思います。

平成十九年八月十五日。
六十二年目の終戦記念日に際し、旧大日本帝國陸海軍将兵の御霊安らかならん事を祈念しつつ。


前のページ 次のページ