Reconsideration of the History
28.かくも簡単に高度文明が滅びるものなのか〜超古代文明考-其の壱-(1998.5.1)

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て皆さん、以前のコラム26.封印された超古代日本史〜「古史古伝」の世界で、「天之浮船」や「ヒヒイロカネ」に代表される「失われた超古代文明」について、「古史古伝」の世界を引用する形でご紹介しました。しかし、本当に超古代に、「天之浮船」が空を飛び、超合金「ヒヒイロカネ」を精錬した様な高度文明(現代文明に勝るとも劣らない)が存在したのでしょうか? もし存在したのなら、どうしてその様な高度文明が崩壊してしまったのでしょうか? 高度に成熟した文明ならば、崩壊を回避する手段もあった筈です。しかし、現実に超古代の高度文明は崩壊してしまいました。では、なぜかくも簡単に崩壊してしまったのでしょうか? 今回はこの点について、考えてみたいと思います。

明崩壊の原因は一体何だったのでしょうか? まず考えられる事は、世界大戦。次に、地球温暖化による沿岸主要都市の水没。更には、極移動(ポールシフト)による気象の激変。この中で最も有力と思われるのが、地球温暖化による沿岸主要都市の水没−つまりは「大洪水」です。何せ、『旧約聖書』の「ノアの方舟」や、古代シュメールの「大洪水」伝説等、世界各地に「大洪水」に関する伝説・伝承が残されています。ちなみに、「古史古伝」にも「万国土(ドロ)の海」等の表現で登場します。現在、地球温暖化による南極大陸の氷解、それに伴う海面の上昇の危惧からも、絵空事とは思えません。又、世界各地(と言うよりも、様々な民族)に同様な伝説が残されている事からしても、「実際に起こった事」が語り継がれて「伝説」になったと考える方がより自然です。しかし、そんな−と言うよりもたかが「洪水」ごときで文明が崩壊するものなのでしょうか? 確かに「大洪水」が起こったとしても、地表はゼロメートル地帯から数千メートルもの高山まで様々です。沿岸の都市や絶対標高の低い島嶼国(インド洋に浮かぶ「モルディブ」等)は壊滅したかも知れませんが、世界全体が「水浸し」になったとは考えられません。それでも文明は崩壊しました。では一体どの様なプロセスを経て崩壊していったのでしょうか?

「大洪水」による文明の崩壊と書きましたが、「大洪水」が文明崩壊の「序曲」だったとも解釈できます。例えば、「大洪水」で全世界の沿岸主要都市が壊滅したとします。するとどうでしょう。東京・ニューヨーク・ロンドン・シドニー等、全世界の大都市の多くが「水没」してしまいます。もはやたかが「水没」とは言っていられなくなってしまうのです。東京を例にとると、日本の「首都」機能が麻痺します。又、情報・物流にも支障を来します。更には証券・為替市場にも影響を及ぼします。東京・ニューヨーク・ロンドン・シドニー、いずれも世界に名だたる証券・為替市場がある都市ばかりです。当然の事ながら、取引は停止するでしょうし、株価は大暴落するでしょう。そうです、待っているのは「世界恐慌」です。又、「水没」してしまった国の人々(難民)は、水没を免れた国へとドッと押し寄せます。当然、「民族問題」も表面化します。更に、「水没」で「有効な国土」が減少した国同士は少ない「領土」を巡って、大規模な食糧不足に見舞われた国は「肥沃な土地」を巡って、戦争を始めます。こうなると、もはや誰にも止められません。経済混乱・政治混乱・民族紛争・領有権紛争・食糧不足・・・行き着く所は「核兵器の使用」(これについては、次回採り上げる予定です)も含めた「文明の破局」でしかありません。それでも頑迷な方は、「高度に発達した文明がそんな簡単に滅びるはずがない!!」とおっしゃるでしょう。ではもっと具体的に、身近な所から「高度文明」がいかに「脆弱」かを証明致しましょう。

さんがこのホームページをご覧になるのに使っている物は一体なんでしょうか? ほとんどの方が「パソコン」ではないでしょうか? それも最近では、CPUに PentiumU・MMX Pentium・AMD K6・PowerPC 等が使われ、一昔の「大型コンピュータ」並の処理能力を持つ機種もざらです。当然、皆さんはこう言った処理能力の高い「パソコン」を日頃から「当たり前」の様に「使っている」訳です。しかし、皆さんは「パソコン」を「使っている」だけで、「作れる」訳ではありません。どこかが故障すれば「修理」に出します。「いや、私は自分で修理したり部品を交換できる!!」とおっしゃる方もおありでしょうが、では、パソコンの心臓部「CPU」まで「修理」出来るでしょうか? メモリはどうでしょうか? ハードディスクは? すべて「購入」する事は出来ても、「製造」する事は出来ない筈です。つまり私達は、パソコンを「使う」事は出来ても、「作り出す」事は出来ないのです。

っと、より身近な物も採り上げましょう。タバコを吸う方は、当然ながら「ライター」や「マッチ」を使って火を付けます。もし、文明が崩壊したら、どうなるでしょうか? ライターやマッチの製造工場が被害を受け、原材料の入手も出来なくなってしまったら、どうなるでしょう? 在庫としてストックされているライターやマッチの在庫が残っている間は問題は無いでしょう。しかし、在庫が無くなったら、それでオシマイです。もはや、火を付けることさえ、現代人には出来ないのです。自動車や船舶・航空機はどうでしょう? 燃料(ガソリンや軽油・重油等)が無ければ動きません。テレビ等の電気製品はどうでしょう? 電気が無ければ無用の長物です。こう考えてみると、お分かりになると思いますが、現代の様な「高度文明」は、それを支えるインフラが機能して始めて「文明」として成り立つのであって、電気・ガス・水道等の身近なインフラが欠けただけでも「文明生活」に多大な支障を来すのです。そして、現代の様な「高度文明」(物質文明)は、こう言った微妙なバランスの上に成り立つ、ある意味で非常に「脆弱」なシステムなのです。そんなシステムが全世界規模の「大洪水」等の「天災」に見舞われたら、どうでしょう? それは、「阪神・淡路大震災」を見るまでもない事ではないでしょうか?


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