Reconsideration of the History
256.「釣魚島は核心的利益」? ならば、靖国・台湾問題も日本の核心的利益である! (2013.4.27)

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さんは「核心的利益」と言う言葉をご存じでしょうか? 「核心的」と「利益」は夫々(それぞれ)日本語の単語としても用いられますが、二つの単語から合成された「核心的利益」なる単語は実は日本語には存在しません。それもその筈で、これは「中国」(支那) ── 中国共産党(以下、「中共」と略)が独裁統治する赤化支那 ── 専用の単語だからです。では、「中国」の専売特許共言える「核心的利益」には一体どの様な意味が込められているのか? 「核心的利益」 ── この単語は、「中国」 ── と言うよりも中共にとって、たとえどの様な事があっても絶対に譲歩してはならない国家的利益(国益)を指します。ですから、「中国」が何かを対象に「核心的利益」と表明した時は、その対象が「中国」にとって絶対に譲歩出来ない国益を指していると認識せねばならないですし、それを護る為ならば、たとえ、あらゆるリスク、不利益、損害を蒙(こうむ)る事が分かっていても、決して厭(いと)わない強い決意に「中国」がある事を他者は理解せねばならない訳です。

(さて)、その「核心的利益」 ── 「中国」にとって絶対に譲れない国益とは一体何なのか? その最たるもの、それは「土地」です。(敢えて「領土」と書かなかったのには訳があるが、それは読み進めて頂ければ理解頂ける) 例えば、「中国」は全国民の9割を占めるとされる自称「漢民族」を中核に、便宜上55の少数民族によって構成されており、それは当然の事乍(なが)ら、非漢民族の居住地域を領土として抱えている事を指します。その代表的なものが、チベット人の住む西蔵自治区(チベット)であり、ウイグル人の住む新疆維吾爾(ウイグル)自治区(東トルキスタン)であり、モンゴル族の住む内蒙古自治区(南モンゴル)であり、そして、満州族の住む遼寧・吉林・黒竜江の東北三省(満州)である訳です。これらの地域に対し、戦後成立した現在の「中国」は正当な手続きを踏まず、早い話が軍事力に物を言わせて「侵略」、自国領土に勝手に併合してしまったが為に、現在もチベットや東トルキスタンで分離独立を求める運動や闘争が繰り広げられている訳です。然し、それに止(とど)まらず、「中国」の困った所、いや、始末に負えない所は、過去から現在に至る迄、一度たり共領有した事が無いにも関わらず、自国領に組み込みたい ── 言い換えれば、「欲しい」 ── と考えている地域に対してさえも「核心的利益」なる単語を用いている事です。その最たるものが日本の隣国であり、数ある親日国の筆頭にも挙げられる台湾(正式国号は、今尚、大陸出身の外来政権が持ち込んだ「中華民国」)です。まあ、これは「中国」を一方的に非難してもしようが無い話で、戦後、日本が台湾の領有権を放棄した後、新たな支配者として乗り込んできたのが蒋介石率いる国民党政権であった事、そして、国共内戦に敗れた蒋介石が「中華民国」そのものを丸ごと台湾に移転してしまった事、更には国号を今尚、「台湾」では無く「中華民国」と名乗っている事等、幾つもの理由が大陸を支配する「中国」に付け入る口実を与えてしまっている事も要因なのですが・・・。そして、これらと同様に近年、急速且つ高頻度で「核心的利益」なる単語を用いられている地域があります。それが平然と、海洋監視船(海監)と漁業監視船(漁政)、更には航空機を以て日本の領海・領空の侵犯を繰り返し、日本の抗議に対し「我々のものだ」と居直っている尖閣群島(「中国」側は「釣魚島」と呼称。以下、「尖閣」と略)の問題であり、更にはその延長線上として、日本の主権を否定し「中国」主導の下(もと)に、日本から分離独立させようと目論んでいる沖縄(琉球)がある訳です。(「中国」は独立後の「琉球国」の公用語の一つに「中国語」を規定させ、事実上の保護国にしようと考えている) 詰まり、「中国」が既に自国領に組み込んである地域に対し「核心的利益」なる文言を用いる場合は、「分離独立は一切認めないし、それらを助長支援する如何(いか)なる(他の)国家・組織の行動も絶対に容認しない」と言う意志の表明を意味し、未だ自国領に組み込まれていない地域に対し「核心的利益」なる文言を用いる場合は、「侵略・占領・併合」に向けたシグナルとして解釈出来るのです。その観点からすれば、尖閣は元より沖縄に対しても、「中国」は既に侵略する方向で国家 ── と言うよりも、人民解放軍(中国軍)が「国家の軍隊」では無く、中共の「党の軍隊」である事から、党の意志として半ば決定された既定路線であり、そう遠くない時期に、監視船では飽き足らず、フリゲート艦等の海軍艦艇を投入してくるであろう事は火を見るよりも明らかです。その時に至って安倍政権下の日本が、戦後、いや現行憲法下初となる自衛隊に対する「防衛出動」を発令し、警告を無視して領海に侵入してくる中国艦と真っ向対峙出来るのか? 現場に於いて射撃管制レーダーの照射を受けた護衛艦が、こちらからも中国艦に対し射撃管制レーダーを照射する等、軍事衝突に至るリスクを承知の対応を取れるのか? 更には、相手が実際に攻撃を仕掛けて来た時、自衛隊創設以来誰一人として経験した事の無い「実戦」と言う未知の領域に、現場の隊員が足を踏み入れる覚悟は出来ているのか? その時こそ、日本の主権独立国家としての矜恃(きょうじ)が真に試される事となるでしょう。(安倍総理ならば、限定局地戦にしろ、日中全面戦争にしろ、一国の政治指導者として、陸海空三自衛隊の統帥者として、その覚悟は出来ているものと強く信じたい)

閣を巡る日中の軍事衝突に話が逸れてしまいましたが、「核心的利益」が「中国」にとって絶対に譲れない国益であるならば、日本にとっても絶対に譲れないもの ── 言い換えれば、日本にとっての「核心的利益」がある筈です。いや、当然の事乍ら、あって然る可(べ)きでしょう。では日本版「核心的利益」とは一体何なのか? それは、日本にとって他国から何をどう言われようが決して曲げられないものであり、事でしょう。その代表的なものが靖国参拝問題であり、台湾問題であり、そして、死語と化した感のある「国体の護持」であろうと個人的には認識しています。

国神社は国家の命令で戦地に赴き散華(さんげ;戦死或いは戦傷病死の義)された将兵の御魂(みたま)鎮魂の為に設置された特別な神社であり、靖国神社存立の意義は戦没者を「祀(まつ)る」事以外にはありません。だからこそ、戦時中、将兵達が互いに「靖国で又会おう」(戦死したら祀られる靖国神社で再会しよう)と言葉を交わして散華して言った訳です。その観点からすれば、国家の為に戦い、その結果、命を落とした将兵の御魂が祀られるのは当然ですし、国政選挙によって選ばれた国会議員や、内閣総理大臣をはじめとする閣僚が、国家・国民の代表として靖国神社へ参拝したり、真榊(まさかき)等の供物(くもつ)を奉納する行為は至極当然の事です。それが、国家の命で散華された将兵に対する国家としての責務でしょうし、それが為されないとなれば、散華された将兵は正に「犬死に」と言う事になり、死んでも死にきれない思いを抱く事でしょう。詰まり、靖国神社への政治家の参拝は当然の行為であり、これを阻止せんとする行為は何人(なんぴと)たり共許されない。ましてや、日本人でも無い他国の人間がとやかく口を挟む可き問題では無い訳で、「中国」や韓国・北鮮に反発される言われも一切無いですし、これが日本にとっての「核心的利益」である以上、日本は絶対に譲ってはならないのです。

、台湾問題も日本にとっての「核心的利益」の一つです。それは、台湾が地政学上、「日本の裏鬼門」に位置すると同時に、日本の東支那海に於けるシーレーン(海上交通路)の要衝に位置し、此処(ここ)が日本の事を良く思わない ── よりはっきり言えば、日本と敵対する ── 国家や勢力の手に陥(お)ちる様な事にでもなれば、日本が国家存亡の危機に立たされるからです。幸い、台湾は世界有数の親日国であり、昭和47(1972)年の日中国交正常化(日本と「中国」の外交関係樹立)に伴い、日本が台湾と断交した後も、表向き外交関係が無いにも関わらず、文化面・経済面での関係は継続し、両国の国民感情も良好。第二次安倍政権の発足以降、両国関係の進展が期待されています。その台湾(の国土)を虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのが「中国」です。彼らは「中国」建国以前も、建国以後も、一度たり共領有統治した事が無い台湾を「中国の神聖なる固有領土」、「核心的利益」等と称して、「武力解放」 ── 早い話が軍事力を動員しての侵略 ── と言う選択肢を排除せず、当の台湾は元より、日米と言った同盟国・友好国に少しでも隙有らば掠(かす)め取らんと欲しています。その台湾は前述の如く日本にとっての「裏鬼門」に当たり、台湾が日本の敵対国「中国」に侵略併合される様な事態になれば、日本は「中国」から将棋で言う所の「王手」を掛けられたにも等しく、尖閣や沖縄に対する防衛面もさる事乍ら、東支那海のシーレーンの要衝を掣肘(せいちゅう)される事で経済面・物流面でも完全に「中国」に首根っこを押さえられ、以降、「中国」の言いなりになるしか無い、その様な状況に陥ってしまうのです。そうなれば、たとえ国土が併合されず共、「中国語を公用語に加えろ」だの、「佐世保や横須賀に中国海軍の拠点を設置したいから租借させろ」だのと言った無理難題を次々と突き付けられ、日本はそれらを唯々諾々受け入れざるを得なくなる事でしょう。その様な悪夢が現実とならない為にも、日本は「日本の生命線」たる台湾の保全を「核心的利益」として位置付け、「中国」の対台湾政策を常に牽制し、彼らの野望達成を様々な方法で阻止せねばならないのです。

後に、日本にとっての最高度の「核心的利益」に付いても、言及しておきたいと思います。日本にとっての最高度の「核心的利益」、それは天皇陛下(及び広義での皇室)を大黒柱とする日本の「国体の護持」です。「中国」が日本に対し、どの様な手段を用いても最終的に排除したいものの筆頭、それは矢張り天皇陛下の存在でしょう。江沢民にしろ、胡錦濤にしろ、習近平にしろ、世界最大の国土と公称13億もの巨大な人民の上に君臨する共産党王朝の「紅い皇帝」である事は、誰の目にも明らかです。然し、その彼ら「紅い皇帝」とそれを支える共産党王朝にとって、我慢ならない存在があります。それが日本の皇室であり、天皇陛下なのです。日本の天皇は現在の今上(きんじょう)天皇で第125代を数え(現在の皇統譜に於ける代数。過去は変動があった)、太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)直系の「神の子孫」であり、初代の神武(じんむ)天皇から今上天皇に至る迄、その間、一度も血統的に断絶した事の無い「万世一系」を誇りとしている ── その様な前提の下(もと)に皇室が存在しています。日本の現在の人口は凡(およ)そ1億2千万人であり、「中国」の10分の1にも満たない訳ですが、「中国」の「紅い皇帝」が血統的に世襲では無く、よりはっきり言えば「力さえあれば、何処(どこ)の馬の骨でもなれる」存在であるのに対し、日本の天皇は、どんなに財力があろうが、武力を持とうが、権力を得ようが、皇室の一員で且つ神武天皇の男系男子の子孫でなければなる事が出来ない訳で、抑(そもそ)も「中国」の「紅い皇帝」とは毛並みが違う訳です。(「中国」の「紅い皇帝」が駄馬であるのに対し、天皇陛下は純血種のサラブレッドに相当) 然も、天皇陛下は日本国内に反皇室の非国民や敵性国家出身の外国人が少なからず存在する中、大多数の国民から敬愛(意識的、無意識的は問わない)されており、現行憲法に謳(うた)われている「日本国及び日本国民統合の象徴」として、日本と言う国家を一つに纏(まと)め上げる要(かなめ) ── 大黒柱として屹立(きつりつ)しています。当の我々日本人は普段余り意識してはいませんが、「中国」から見れば天皇陛下を皇位から引き摺(ず)り下(お)ろし、皇室を解体しなければ、日本は国家として結束し続け、決して「中国」の意の儘(まま)にならない。その様に考えている訳です。ですから、「中国」の対日最終目標は当然の事乍ら皇室の排除と見て間違いありません。彼らは日本人から「精神性の拠り所」としての皇室を排除する事で、日本人を精神面から「骨抜き」にし、その上で、未来永劫、隷従(れいじゅう)させようと考えているのです。ですから、我々はどの様な妨害工作があろう共、天皇陛下を中心とする皇室を戴(いただ)く「国体を護持」し、藤原摂関家から平家、源氏将軍から北条執権家、足利将軍から織田信長、豊臣秀吉、徳川将軍と目まぐるしく権力に於ける為政者が交代し続けたにも関わらず、何ら変わる事無く日本と言う国の文化と伝統、精神性の連綿を保障し続けた皇室と共にあらねばならないのです。それこそが、日本にとっての最高度の「核心的利益」である。私はそう考えますし、皆さんにも同じ認識を持って頂きたい。これからも天皇陛下を長(おさ)とする皇室と我々国民とが「君臣一体」となって、この日本を守り立て、そして、護(まも)っていかねばならない。そう強く思うのです。(了)


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