Reconsideration of the History
262.「同盟国」米国を糺す! 米国は日本、中韓孰れの盟邦なるや? (2014.2.11)

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バイデン米国副大統領と記者会見する安倍晋三総理
バイデン米国副大統領と記者会見する安倍晋三総理
平成25(2013)年12月3日、訪日したジョー=バイデン米国副大統領は安倍晋三総理と共に記者会見を行った。この9日後、バイデン米国副大統領は安倍総理との電話会談を行い、総理就任から満一年となる12月26日に予想されていた安倍総理の靖国神社参拝に付いて幾度と無く自制を求めた。然し、安倍総理は「行くか行かないかは自分で判断する」と返答。実際に26日に安倍総理は靖国神社に参拝した訳だが、それを受けて米国が発表した「失望」声明は、副大統領の自制要求が容れられなかった事に対する「答え」であった。
故・ヘンリー=ハイド米国下院外交委員長(在職 2001〜2007)
故・ヘンリー=ハイド米国下院外交委員長(在職 2001〜2007)
平成26(2014)年2月1日、共同通信は、小泉純一郎総理(当時)の靖国神社参拝に付いて、平成17(2005)年・翌18(2006)年に、加藤良三駐米大使やジョン=デニス=ハスタート米国下院議長(下写真)に対して、故・ヘンリー=ハイド米国下院外交委員長が送ったとされる書簡の内容について配信した。その中でハイド氏は東京裁判批判に対する不快感と、日本の総理や閣僚による靖国神社参拝に対する遺憾を表明したと言う。然(しか)し、記者インタビューに応じたハイド氏は「私は総理が靖国神社に参拝すべきではないと、そんなに強く感じていない。ただ、私が小泉首相に配慮して欲しいと思うのは第二次大戦に参戦した米国人の感情についてだ」と答えている事から、中韓両国が主張する様な「靖国参拝=軍国主義復活」と言う論理に必ずしも与(くみ)している訳で無い事は明らかだ。
ジョン=デニス=ハスタート米国下院議長(在職 1999〜2007)
ジョン=デニス=ハスタート米国下院議長(在職 1999〜2007)
年末、平成25(2013)年12月26日に安倍晋三総理が靖国神社を参拝してから優に一ヶ月を経ているにも関わらず、未だにこの「問題」が外交問題として燻(くすぶ)り続けています。例えば、1月28日には、昨年12月12日に米国のジョー=バイデン副大統領が安倍総理と電話会談した際、バイデン副大統領が靖国参拝問題を取り上げて安倍総理に対し「行く可(べ)きでは無い」と繰り返し自制を求めた事が複数の日米関係筋の証言により明らかになりました。この「参拝自制要求」に対し、安倍総理は「心の問題」であり「行くか行かないかは自分で判断する」と強調、バイデン副大統領の要求には応じず、実際に26日に参拝した事はご存じの通りです。この電話会談に於いて安倍総理の「予想外の抵抗」に遇ったバイデン副大統領は「それならば、総理自身の判断に委(ゆだ)ねる」と引き下がったものの、この時の要求が安倍総理に受け容(い)れられなかった事が、参拝後、米国政府をして同盟国日本に対する異例共言える「失望」声明発表に繋がったであろう事は想像に難くありません。まあ、米国からすれば、日本は「同盟国」と言うよりも「子分」としか看做(みな)していない訳で、親分(バイデン副大統領)の言う事に子分(安倍総理)が従わない等と言う事は「想定外」、ただ、同じ「子分」とは言っても「チンピラ」程度の韓国とは違い、日本は「若頭」位の格ですから、苦々しくは思ったところで、その場では「失望」声明がせいぜいだったのでしょうが。(尤(もっと)も、これで「ただで済むと思うなよ」と言うのが米国の本音であり、実際、何時(いつ)どのタイミングでどの様な仕置きを加えるかは考えているだろうが)

、2月1日には共同通信の配信で、小泉純一郎総理(当時)による靖国神社参拝に付いて、米国共和党の故・ヘンリー=ハイド元米国下院外交委員長(2007年没)が在任中の平成17(2005)年と翌平成18(2006)年、当時の加藤良三駐米大使や米国共和党のジョン=デニス=ハスタート米国下院議長に対し、小泉総理の靖国神社参拝への懸念を伝えた書簡が明らかになりました。この書簡の中でハイド氏は東条英機元総理等所謂(いわゆる)「A級戦犯」を裁いた東京裁判(極東国際軍事法廷)に対する「勝者の裁き」であるとの批判に付いて、「歴史の審判は明白だ。ナチス-ドイツ、ファシストのイタリア、軍国主義の日本が侵略戦争を行(おこな)った」、「(ドイツの戦争犯罪を裁いたとされる)ニュルンベルク裁判と同様に勝者の裁きでは無い」として強い不快感を示すと同時に、総理は元より閣僚による参拝に対しても「遺憾」を表明したと言います。ただ、この配信記事を額面通りに受け止める事が出来ない点もあります。例えば、書簡を書いたとされる当のハイド氏の靖国参拝に対するスタンスに付いて、過去に発言が捏造された事があったからです。それは、平成18(2006)年6月29日、TBSが放送した筑紫哲也(故人)の報道番組『NEWS23』に於いて起きました。この日、「幻に消えた?米議会での演説」と言うタイトルで、小泉総理(当時)が訪米の際に米国議会で演説する事が計画されていたらしいが、小泉総理が米国議会で演説するのなら8月15日(終戦記念日)には靖国神社に参拝しないと約束して欲しいと言う内容の書簡をハイド外交委員長がハスタート下院議長に送ったと言う内容のニュースを放映したのですが、その中でハイド氏が話している映像に対し、

私は日本の首相が靖国神社に行くべきでないと強く思っています。私が小泉首相に配慮してほしいと思うのは第2次世界大戦に参戦したアメリカ人の感情についてです」
との字幕が付けられ、ハイド氏が如何(いか)にも小泉総理の靖国神社参拝に明確に反対しているかの様に印象付けていた事です。然(しか)し、実際にはハイド氏の発言は字幕とは異なるものでした。ハイド氏は、

I don't feel strongly that that the Prime Minister shouldn't visit the shrine, it's just that I would like to bring to his attention the sensitivity of Americans that are involved in the recognizing World War Uconbat circumstances.
私は総理が(靖国)神社に参拝すべきではないと、そんなに強く感じていません。ただ、私が小泉首相に配慮してほしいと思うのは第2次世界大戦に参戦したアメリカ人の感情についてです)」

と発言、個人的には日本の総理が靖国神社へ参拝し、英霊(戦没者)の御魂(みたま)安らかならん事を祈念する行為に対し強い抵抗感は無いが、先の大戦に於いて実際に日本軍と戦った退役軍人や戦没者の遺族の心情を勘案すると配慮してもらいたい、と言った内容だったのです。詰まり、これは「YASUKUNI」が「中国」(支那)・韓国、そして、日本国内の「非国民」や「反靖国」を煽るメディア報道によって政治問題化され、毎度々々、蜂の巣をつついたが如く内外で騒がれる事によって、米国内に於いても先の大戦を「忘れたい」人々の記憶を呼び覚ましてしまう、その事を危惧しての発言だった訳です。そんな思いを抱いていたハイド氏の書簡記事が共同通信によって、安倍総理の靖国神社参拝から一ヶ月を過ぎた今、このタイミングで世に出された訳で、私でなく共、疑念を抱かざるを得ないでしょう。そして、其処(そこ)へもってきて、更に米国が日本に対し矢を放ち続けている事です。

百田尚樹氏
百田尚樹氏
ベストセラー小説で映画もヒットした『永遠の0』の著者、百田尚樹氏。現在、反日偏向報道の発信源の一つと堕した日本で唯一の「公共放送局」NHKの「大掃除」の為、経営委員の一人に名を連ねている。その彼が所謂「南京大虐殺」を否定したり、東京裁判に疑問を呈する発言をした事が問題になっている様だが、私から見れば彼の発言は至極当然であり、常識の範疇でしか無い。尤(もっと)も、左舷に傾きに傾き、転覆寸前の「日本丸」の状態こそが正常なのだと考えている様な自虐史観に洗脳されている人間には到底理解出来ないだろうが。
ケリー米国務長官と記者会見する岸田文雄外相
ケリー米国務長官と記者会見する岸田文雄外相
平成26(2014)年2月8日(現地時間7日)、ワシントンを訪れた岸田文雄外相は、ジョン=フォーブズ=ケリー外相との会談に臨んだ。この会談に於いてケリー国務長官は、日本が中韓両国との関係を改善する様促し、岸田外相も努力を約束した。然し、考えてみればおかしな話である。理不尽且つ不条理な「因縁」を付けている中韓両国に「いい加減にしろ!」と言うならまだしも、「因縁」を付けられている被害者の日本が関係改善の努力を促されたのだから。これ程、滑稽な話が一体何処(どこ)にあろうか? 米国は確かに日本の「同盟国」かも知れないが、「言う相手を間違えているだろう。莫迦(ばか)も休み休み言い給(たま)え!」とでも言ってやりたい気分だ。
2月1日の共同通信によるハイド氏の書簡内容に付いての配信 ── 東京裁判批判に対する反論を含む内容 ── に輪を掛ける様に、今度はNHK経営委員の一人で、小説・映画共に大ヒットとなった『永遠の0』の著者でもある百田尚樹氏が、所謂「南京大虐殺」を否定し、逆に東京大空襲や広島・長崎への原爆投下を「大虐殺」(非戦闘員たる一般市民の大量殺戮=「人道に対する罪」に該当)と断罪、「東京裁判はそれ(米国の犯した「人道に対する罪」)を誤魔化(ごまか)す為の裁判」と喝破(かっぱ)した発言に対し、2月8日、在日米国大使館の報道官が米国政府の公式統一見解であるとした上で、「非常識な発言であり、米国政府は責任ある地位に就いている人物が(アジア)地域の緊張を煽る発言を控えるよう努める事を望む」との声明を発表。又、同日(米国東部時間の7日)、米国ワシントン訪問中の岸田文雄外相と会談したジョン=フォーブズ=ケリー米国務長官は長官で、冷却化している日韓関係・日中関係の改善を要求する始末。安倍政権にとっては、対立が先鋭化している中韓両国は元より、「同盟国」米国との関係もぎくしゃくしており、外交面では前途波高しの日々が当分続く事でしょう。然し、此の様なご時世だからこそ、私は今の日本が米国に対し、日本としての矜恃(きょうじ)を示さねばならないのだと強く思っているのです。

(そもそ)も何故、米国が日本の総理や閣僚による靖国神社への参拝を自制する様要求してくるのか? それは、日本の総理や閣僚が靖国神社へ参拝すると、「中国」・韓国が騒ぎ立て、その煽りで米国に於いても退役軍人や戦没者遺族の感情に少なからぬ影響を及ぼすからです。又、日本の総理による靖国神社参拝で、日中関係が先鋭化すると、軍事的な「同盟国」である日本と、経済面で結び付きが年々深まっている「中国」との間で米国が板挟みになり、日韓関係の対立に付いても、東アジア地域の安定には日米韓三国の強固な連携・同盟が必須と考える米国にとっては迷惑以外のなにものでも無い訳で、日中・日韓のいらぬ対立の元となる日本の総理や閣僚による靖国神社参拝は、米国にとって百害あって一理無い米国の国益 ── 東アジア地域の安全と安定が維持された上での通商活動 ── に合致しない行動としか写らない訳です。それ故、今の米国が靖国神社に誰が参拝しようが、しまいが「そんなの関係ねえ」と内心では思っていたとしても、国益に関わる事だからこそ、日本に対し強く自制を求めてくる訳です。然し、考えてみればおかしな話でしょう。日本の総理や閣僚を含め、日本国民が日本国内にある靖国神社を参拝する事を、「中国」や韓国が阻む権利が一体何処(どこ)にあるのでしょう? その様な権利は何処を穿(ほじく)り返して探して見た所で出てきはしません。それは、そうでしょう。理不尽な要求なのですから。然し、それを世界中に向けて拡声器を使って喚(わめ)き立てている。それが、中韓両国の姿です。そんな中韓両国の言に乗って日本に要求を呑む様求めている、それが米国なのです。と言う事は、どんなに理不尽且つ傲慢な事でも、拡声器を使って周囲に対し喚き立てれば通るのか? その様な不条理が罷(まか)り通って良い筈がありません。それはそうでしょう。「声が大きい方が勝ち」が罷り通るのであれば、国際法も二国間、多国間の条約も全く用を為しませんし、その様なものが抑(そもそ)も存在する価値すら無くなってしまいます。

「中国」が日本固有の領土である尖閣群島(中国名「釣魚島」)の領有権を勝手に主張し、中国海警所属の公船や航空機を、これ又勝手に日本の領海・領空に侵入させる。更には東支那海に尖閣群島周辺の日本領空をも含む防空識別圏を勝手に設定する等して、日本の領土・領海・領空を強引に奪取せんと次々と手を打っている事に対し、米国が『日米安保条約』に基づき「日本の施政下にある尖閣群島周辺の日本の領土・領海・領空を防衛する義務が米国にはある」との認識を明確にし、日本には義務履行の確約、「中国」に対しては牽制球を投げている訳ですが、これとて日本が「有り難(がた)がる程の事」では無く、『日米安保条約』によって米国には日本防衛の義務がある以上、

守って当たり前、守るのが当然!

の事なのです。その延長線で考えれば、米国が為す可き事は、「靖国神社参拝問題」に対して、日本の総理や閣僚が靖国神社へ参拝しない様に自制を求めるのでは無く、逆に理不尽且つ傲慢な物言いをしている中韓両国を一喝し、米国が「同盟国」日本の側にある事を明確にする事。それこそが本来ある可き姿と言えるでしょう。

分の住んでる町内で訳の分からない事を言って自分を貶(おとし)めようとしている連中が居る。そんなシチュエーションで、町内会長が自分に対し「あなた一人が我慢してくれれば、波風も立たず町内の平和が保たれる話だから・・・」と言ってきたら、皆さんはどうされますか? どの様な理不尽な要求でも呑みますか? それ共、例え町内の平和が損なわれる事になっても、理不尽な要求等拒絶し、訳の分からない連中と戦いますか? この例え話の「町内」が東アジアであり、「訳の分からない連中」が中韓であり、町内会長が米国、そして、自分が日本。このシチュエーションで自分=日本が町内会長=米国に対して、言う可き事は唯一つ、

あんた、町内会長なんだから、訳の分からん連中を黙らせて来いよ!

ではありませんか? そして、それが出来ないのであれば、とっとと町内会長を降りるのが筋では無いでしょうか? そして、それは東アジア地域に於いても同様。東アジアに於ける最重要「同盟国」である日本と、21世紀の軍国主義覇権国家「中国」や、その「中国」に靡(なび)いて日米韓同盟関係の足を引っ張っている韓国と、一体どちらに米国は重きを置きたいのか? 米国の返答次第では日本にも日本の考えがある!(それは、とどの詰まりは日本が対米自立、自らに課していたリミッターを解除し、東アジアに於ける盟主の座を「中国」と争い、日本主導による21世紀版「大東亜共栄圏」構築を目指す事) いい加減、旗幟(きし)を鮮明にしろ! とまあ、これ位の事を日本が米国に突き付けても良いのではないでしょうか? 又、そうで無ければ、転居する事等絶対不可能なこの東アジアに於いて、日本が中韓、そして、米国と互していく事到底出来ない訳で、米国に、

日本、中韓孰(いず)れの盟邦なるや?

との踏み絵を突き付ける丁度良い機会では無いかと私は思うのです。(了)


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