Reconsideration of the History
261.安倍総理の靖国神社参拝の何処が悪い!──他国の強要する「歴史認識」を糺す! (2014.1.7)

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平成25(2013)年12月26日、靖国神社に参拝する安倍晋三総理
平成25(2013)年12月26日、靖国神社に参拝する安倍晋三総理
平成24(2012)年12月26日の総理就任から丸一年を迎えた平成25(2013)年12月26日、安倍晋三総理が東京九段の靖国神社に参拝した。悪化している中韓両国との関係改善の為、8月15日の終戦記念日はおろか春秋の例大祭ですら供物奉納に止(とど)め、自身の参拝を控えてきた安倍総理だったが、その間、参拝を自重したにも関わらず中韓両国の対日姿勢は変わらなかった。それに加え、第一次政権時に一度も参拝しなかった事を顧みて「首相在任中に参拝出来なかった事は痛恨の極みだ」と常々発言してきた安倍総理にとり、自らの支持基盤である保守層への「公約」を果たす意味からも、靖国参拝は当然の帰結だったと言える。この参拝に際し、安倍総理は「内閣総理大臣 安倍晋三」の肩書きで昇殿参拝。多くのテレビや新聞は批判的論調を展開、世論を誘導しようと試みたが、ネット世論は同調せず、逆に8割が安倍総理の靖国参拝を支持。大手メディアの「魔力」の弱体と凋落(ちょうらく)を否応(いやおう)無く見せ付ける結果となった。
平成26(2014)年1月1日、靖国神社に参拝する新藤義孝総務大臣
平成26(2014)年1月1日、靖国神社に参拝する新藤義孝総務大臣
安倍総理の靖国参拝から6日後の平成26(2014)年1月1日、現安倍内閣で総務大臣を務める新藤義孝衆議院議員が靖国神社を参拝した。安倍総理の参拝から冷めやらぬ元日の参拝であり、且つ、現職閣僚の参拝だった事から中韓両国は再び反発したが、行政府の長たる総理が参拝した事で、閣僚が参拝し易くなった点は否めないだろう。因みに、新藤総務相の母方の祖父は、クリント=イーストウッド監督の米国映画『硫黄島からの手紙』の主人公で、硫黄島守備司令官として同島で玉砕した栗林忠道・大日本帝国陸軍大将であり、祖父の御魂(みたま)眠る靖国神社に孫として参拝した行為は当然と言えば当然の事である。
平成18(2006)年8月15日、靖国神社に参拝する小泉純一郎総理(当時)
平成18(2006)年8月15日、靖国神社に参拝する小泉純一郎総理
安倍総理の靖国参拝は平成18(2006)年8月15日に当時の小泉純一郎総理が参拝して以来、実に7年ぶりの総理による参拝となった。その小泉元総理は三期務めた総理在任中、平成13(2001)年8月13日、平成14(2002)年4月21日、平成15(2003)年1月14日、平成16(2004)年1月1日、平成17(2005)年10月17日、そして、平成18年8月15日と六回も参拝した。それによって、中韓両国と国交断絶したか? 答えは否であり、両国は、あの「変人宰相」の靖国参拝を遂に阻止する事能(あた)わなかった。安倍総理も就任以来初となる靖国参拝を遂に果たした訳だが、どうせ一回参拝したのだから、二回も三回も同じ事だ。今後は、総理退任の日迄、事ある毎に粛々と参拝し、現在の「陸海空三軍の最高司令官にして統帥(とうすい)権者」として、英霊の御魂(みたま)の鎮魂に努めて頂きたいと切に願う。
成25(2013)年12月26日、総理就任から丸一年が経過した安倍晋三総理(第96代)が東京九段の靖国神社を参拝しました。然(しか)も「内閣総理大臣 安倍晋三」の肩書きでの昇殿参拝。平成18(2006)年9月26日から翌平成19(2007)年9月26日迄の一年間、第一次安倍内閣を率いた総理(第90代)在任中、靖国神社参拝を繰り返した小泉純一郎前政権(第87〜89代)下で悪化した「中国」(支那)・韓国(南鮮)と言った所謂(いわゆる)「近隣諸国」との関係改善の為、遂に一度も靖国神社へ参拝しなかった事を振り返って「首相在任中に参拝出来なかった事は痛恨の極みだ」と述べていた安倍総理にとって先の参拝は、保守本流を自認し「戦後レジームからの脱却」を標榜する「国家主義者」(反日左翼の言)として、自身の支持基盤たる保守派支持層への「公約」を果たした結果であり、当然の帰結だったと言えます。

の参拝に対して、「中国」・韓国共に強烈な拒否反応と反発を示し、同盟国である米国も「失望」との表現で婉曲に批判をしました。(但(ただ)し米国は、現職総理による靖国参拝が問題と言うよりも、それによって共に「同盟国」である日韓の軋轢(あつれき)が激化する事と、日本と「中国」の対立が先鋭化する事を嫌っての反応) 又、第二次世界大戦に於いて日本と同盟関係にあったドイツからは、自国の「ナチスの戦争犯罪」に対する対応とは異なり、日本が「過去の歴史を反省していない」事に対する批判が、更にロシアからは北方領土問題も絡めて「第二次世界大戦の結果としての歴史認識を覆そうとする挑戦」として非難されました。まあ、米中露と言った先の大戦に於ける「戦勝国」側からすれば、自分達が強制した「正しい歴史認識」を基盤に戦後秩序を構築し、その上に胡座(あぐら)をかいて国連(連合国)安保理の常任理事国として君臨する「居心地(いごこち)の良い」世界秩序を崩されたくないと言う思いがあるからなのでしょうが、戦後既に60年以上も経ち ── 人生で言えば「還暦」を過ぎ、リセット或(ある)いは「生まれ変わった」も同然の時間が過ぎたにも関わらず、何時迄(いつまで)も「過去の勲功」にしがみつく「戦勝国」の醜態と女々(めめ)しさには、正直、反吐(へど)が出る思いです。

れは扨(さて)置き、この安倍総理の靖国参拝に対し、内外のメディア共に大半が批判的な論調を取り、世論を「反靖国」・「反日」に誘導しようと躍起になりましたが、悲しいかな、昔とは違って、今は大手メディアが一方的に情報を流して世論を形成する様な時代ではありません。まあ、その辺りの事が未(いま)だ理解出来ていない「オールドタイプ」のメディア関係者には何を言っても無駄かも知れませんが、所謂(いわゆる)「ネット世論」に於いては8割近くが安倍総理の靖国参拝を支持し、20〜30代の若い世代に於いても評価する声が多数に上りました。この様な「安倍カラー」を支持する若い世代を「ヒトラー-ユーゲント」(ヒトラー青少年団)に準(なぞら)える向きがあるやも知れませんが、彼ら若い世代は、先の戦争を知らず(私もそうだが)、高度経済成長期を知らず、中にはバブルによる日本の栄華(えいが)も知らない若者も居る訳で、彼らからすれば、平成の世の不景気と「中国」・韓国からの不当なジャパン-バッシングに対し強い憤(いきどお)りを感じると同時に、「こんな歪(ゆが)んだ日本に誰がした?」との思いが渦巻(うずま)いているのは確かです。彼らにとって先の大戦は「遠い遠い過去の出来事」であり、その事で未(いま)だに日本が糾弾される事に対し、何故(なぜ)未だに反省せねばならないのか? 詫(わ)びねばならないのか? そして、卑屈にならなければならないのか? との強い反発があります。そして、それを払拭、打破するものとして「安倍カラー」がマッチしている訳です。

が随分と横道に逸(そ)れてしまいましたので戻しましょう。靖国神社には先の大戦で亡くなった旧日本軍の軍人や軍属(日本人だけで無く、共に「皇国臣民」だった台湾人・朝鮮人も含まれる)だけで無く、開戦時の総理兼陸軍大臣だった東条英機・陸軍大将をはじめとする14柱(はしら)の所謂(いわゆる)「A級戦犯」も合祀(ごうし)されています。「中国」・韓国をはじめ、日本国内の「非国民」(左翼反日勢力)は、この「A級戦犯」が合祀されている事を槍玉に挙げ、その様な「A級戦犯」の祀(まつ)られている靖国神社に総理はおろか閣僚・政治家が参拝する事は「認められない」との姿勢を取っている訳です。然(しか)し、「A級戦犯」とされた人々に付いては、他の所謂「戦争犯罪人」共々、昭和27(1952)年6月9日に参議院本会議で為された『戦犯所在者の釈放に関する決議』、同年12月9日に衆議院本会議で為された『戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議』、昭和28(1953)年8月3日に衆議院本会議で為された『戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議』、そして、昭和30(1955)年に衆議院本会議で為された『戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議』と言った国会に於いて相次いで為された四つの決議(因(ちな)みに、現在の民主党(の一部)や社民党の前身である当時の社会党も決議に賛成していた)及び『恩給改正法』等により、完全な名誉回復が為されており、現在の日本に先の大戦に於ける「戦争犯罪人」は一人も存在しません。(それ故、靖国神社に祀(まつ)られている「A級戦犯」該当者は、同神社に於いて「昭和殉難者」として祀られている) 詰まり、A級だろうが何だろうが「戦争犯罪人」なる者が一人も祀られて等いない靖国神社に総理を筆頭に閣僚・政治家が公的・私的に関わらず参拝、慰霊鎮魂する事に誰憚(たれはばか)る必要があるのでしょう? ましてや、靖国神社は日本国内に存在し、国家から独立した一宗教法人です。その一宗教法人たる靖国神社に対して「A級戦犯は分祀しろ!」だの、「総理や閣僚の参拝は認められない!」だのとの「外野」の戯言(たわごと)は、其処(そこ)に祀られ閑(しず)かに眠る英霊に対し無礼千万以外のなにものでもありませんし、「中国」・韓国からの反発や参拝に対する批判や非難に付いても、明らかに内政干渉に分類され得る行為であり、「靖国神社を管理しているのは、お前らか?」、「何様の権限があって文句を付ける?」と言った日本国内からの反発が出るのは当然の事です。日中関係・日韓関係の悪化は独り日本側に問題があるかの如く言われてきましたが、日本国内に於いて極々(ごくごく)一般の国民にさえ嫌中・嫌韓意識が広がっている現実を見ても、彼ら中韓両国の理不尽且つ傲慢な対日姿勢が、嫌中・嫌韓派の増加と言うブーメランとなって彼らに向けて跳ね返っている現実を、彼ら中韓両国は認識す可(べ)きと言えます。

して、もう一つ指摘せねばならない事があります。平成24(2012)年12月26日の総理就任から靖国神社に参拝した平成25年12月26日迄の一年の間、世間から注目された靖国神社の春季例大祭(4月21日〜23日)・秋季例大祭(10月17日〜20日)、そして、終戦記念日(8月15日)と言った節目々々に、安倍総理は私費で真榊(まさかき)と言った供物(くもつ)こそ奉納しましたが、対立する中韓両国に対する外交的配慮から、自身の参拝は控えてきました。然(しか)し、その結果、中韓両国の対日姿勢に変化(好転)が見られたでしょうか? 答えは否です。結局、安倍総理は、自身が靖国神社へ参拝しようが、しまいが、彼ら中韓両国の対日姿勢に変わりはないと匙(さじ)を投げ、どうせ参拝した所で、「どん底」共言える中韓両国との関係がこれ以上悪化する事は無いと腹を括(くく)った。いや、言い方を変えれば、中韓両国を見限った ──

「東亜の悪友」(との関係)を断った

と言った方が当を得ているでしょう。

(さて)、安倍総理の靖国神社参拝に付いて長々と書いてきましたが、此処(ここ)で「歴史認識」なるものに付いて少々論じたいと思います。「歴史認識」 ── 先の大戦(大東亜戦争)に於ける「歴史認識」は、「悪者」たる軍国主義の大日本帝国がアジア・太平洋地域を侵略したが、「正義の味方」たる米国をはじめとする連合国が勝利した ── と言ったものであり、その歴史認識に基づき、日本は先の大戦に於ける戦争犯罪を認め、反省と謝罪、そして、補償をせねばならないとの主張に従わされてきました。然(しか)し、日本が先の大戦の「敗戦国」だったからと言って、「戦勝国」の主張や歴史観に唯々諾々(いいだくだく)と従わねばならない理由等微塵(みじん)も無いと言うのが私のスタンスです。その最大の理由は、

戦勝国が絶対正義であり、その主張が全て正しいのか?

と言う大いなる疑念であり反発です。例えば「戦勝国が絶対正義」だとしましょう。すると、その時点で論理破綻を起こす国があります。その最たるものが米国です。米国は先の大戦に於いて、日本に対し「軍事的勝利」を果たし、敗戦国たる日本は国土を占領され、国家の最高法典である『大日本帝國憲法』と旧『皇室典範』の改正を強要され、神道指令や報道統制等の理不尽な仕打ちを受けました。それもこれも「敗戦国」だったからに他なりません。然し、その米国が常勝だったかと言えば、決してそうではありません。皆さんもご存じのベトナム戦争(1960年12月〜1975年4月30日)では、親米の南ベトナム(ベトナム共和国)とそれを支援した米韓両国は、ホー=チミン(胡志明)率いる北ベトナム(ベトナム民主共和国=南ベトナム解放民族戦線)に敗れました。詰まり、ベトナム戦争に於いては、北ベトナム(南ベトナムをも合わせた統一ベトナム)が「戦勝国」、米韓両国は「敗戦国」となったのです。然し、その「敗戦国」たる米国が「戦勝国」たるベトナムの歴史認識を受け容(い)れたかと言えば、答えは否(いな)です。「戦勝国が絶対正義である」と言う論理に基づけば、米国はベトナム側の歴史認識に従わねばならない筈です。然し、現実問題として、米国は自国の歴史認識を曲げる事をしませんでした。それは、米国と共にベトナム戦争に参戦、敗れた韓国も然りです。詰まり、此処(ここ)で何を言いたいのか?と言うと、先の大戦に於いて「戦勝国」米国は「敗戦国」日本に自分達の価値観・歴史認識を強要したにも関わらず、ベトナム戦争では「戦勝国」ベトナムの価値観・歴史認識を「敗戦国」米国は拒絶した訳で、「歴史認識」等と言った所で、所詮はその程度のものである訳です。ですから、戦後60年以上も経った現在、日本が米中露と言った先の大戦の「戦勝国」の価値観・歴史認識に従い続ける必要等全く無い訳です。

「歴史認識」は捉(とら)える者が百人いれば、それこそ百人百様の「歴史認識」が存在し得る筈です。(日本国内に於いても、幕末維新・戊辰(ぼしん)戦争に関する「歴史認識」が会津(福島県)と長州(山口県)とで大きく異なる事は、周知の事実である) 中韓両国からすれば「正しい歴史認識」であっても、それは彼らにとって都合が良いだけで、日本から見れば「謬(あやま)った歴史認識」であるのかも知れない。いや、実際にそうなのです。その「謬った歴史認識」を日本が中韓両国に正せ!と要求した所で、彼らが従う筈がありません。ならば、その逆も然り。日本が中韓両国から、日本にとっての「正しい歴史認識」を正せ!と要求された所で、突っぱねれば良いだけの事ですし、「歴史認識」や靖国参拝問題を理由に首脳会談に応じないと言うのであれば、それはそれで大いに結構。安倍総理が無理して迄、習近平(シー=ジンピン)「中国」国家主席や朴槿惠(パク=クネ)韓国大統領と会う必要等全くありません。

倍総理の靖国参拝を受けて、先の大戦前夜の様に、日本と国交断絶したり、対日禁輸に踏み切った国があるでしょうか? 「旧日本軍が侵略した」とされる東南アジア・南アジア諸国から、日本に対し公式な抗議が寄せられたでしょうか? 答えは否です。フィリピンにしろ、ベトナムにしろ、インドにしろ、安倍総理の靖国参拝の以前と以後とで対日姿勢に変化は見られません。大手メディアは「近隣諸国」中韓両国や「戦勝国」ロシアからの非難や反発、「同盟国」米国からの失望を大きく取り上げますが、世界はこれらの国だけで構成されている訳ではありません。寧(むし)ろ、中韓両国等は、現在の国際社会の中で「浮いており」、ある意味「孤立している」部類の異質国家です。ですから、日本は彼らの反発に一々応(こた)える必要等ありません。放っておけば良いだけの事です。何しろ、「中国」は急速な軍拡、東支那海・南支那海に於ける他国海洋権益に対する侵害、日本領尖閣群島の上空を含む東支那海に於ける防空識別圏の一方的設定により、国際社会からは半ば「軍国主義国家」と看做(みな)されていますし(習近平は文字通り現代中国の「ラストエンペラー」となる。詰まり、「中国共産党王朝」による帝国体制は間もなく自滅する)、一方の韓国とて、日本との政治面での断絶状態が、更に経済面、安全保障面に迄及ぶ事となれば、国家存立にも関わる深刻な事態に陥る訳で(日本は韓国と国交断絶しても大した事は無いが、韓国は日本に見捨てられれば対北関係も含め、極めて深刻な事態に陥る。朴槿惠は意固地になっているが、韓国の政官財界はその事を十二分に認識しており、実際、既にその兆候は各所で見られる)、日本は相手側の譲歩を座して待っていれば良く、何ら狼狽(うろた)える必要はありません。

(いず)れにせよ、安倍総理の靖国参拝は大手メディアが言う程、深刻な問題ではありません。寧(むし)ろ、騒げば騒ぐ程、慌(あわ)てれば慌てる程、彼ら ── 中韓両国であり非国民 ── の術に填(はま)るだけです。ですから我々は、中韓両国や非国民の反発等を報道を通じて煽(あお)る大手メディアの言に惑わされてはなりません。安倍総理が「内閣総理大臣 安倍晋三」の肩書きで、靖国神社を参拝し、英霊の御魂(みたま)安らかならん事を祈念した ── その事を閑(しず)かに受け止め、泰然自若(たいぜんじじゃく)としていれば良い。唯(ただ)それだけの事なのです。(了)


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