Reconsideration of the History
37."United Nations"は「国際連合」ではない!! (1998.9.7)

前のページ 次のページ


さんは「国連」にどんなイメージをお持ちでしょうか? 国連総会・国連安保理・国連軍・・・。大抵の方は、諸国の「集まり」くらいにしか思っていないのではないでしょうか? しかし、その真の姿を知った時、皆さんも「国連」に少なからぬ「疑念」を抱くことでしょう。と言う訳で、今回は知っているようで、以外と知らない「国連」について触れてみたいと思います。

「国連」、「国連」と当たり前の様に言っていますが、正式には「United Nations」(通称、UN)と言い、「国際連合」と和訳されています。しかし、この和訳がそもそもの「間違い」でした。「United Nations」は「連合国」と和訳すべきだったのです(と言う訳で、以下、「国連」は「UN」と省略します)。ではなぜか? それはその発足の経緯にあったのです。

UNは、第二次世界大戦後の世界平和の維持を目的として、1945(昭和20)年10月に成立した国際機構とされています。しかし、1944(昭和19)年10・11月−つまり戦時中に、米・英・中(当時の中華民国)・ソ(現ロシア)の4ヶ国によるダンバートン-オークス会議で具体案が審議され、翌1945年4-6月、サンフランシスコで開催された連合国全体会議で国連憲章を採択、同年10月に批准され成立したもので、成立過程の大半は「戦時中」なのです。そして重要な事は、「発起」した国々がそのまま、半永久的特権(拒否権)を持つ「安保理常任理事国」(米・英・仏・中・ソ)となった事です。

て、私は冒頭で UN を「国際連合」ではなく「連合国」だと書きました。どうして、 UN が「国際連合」ではなく「連合国」なのか? まず第一に、発起から審議、そして批准成立に至る迄、その全てが当時(戦時中)の「連合国」によって進められた点です。その最たるものが「旧敵国条項」です。これは、日・独・伊に代表される旧「枢軸国」−つまり、第二次大戦の敗戦国に対する差別条項でした。日本は昭和31(1956)年、加盟を許されました。そして表向きには、安保理非常任理事国も経験し、「大国」として「復権」しましたが、独・伊共々、長らく「旧敵国」として、『国連憲章』上では「差別」の対象とされてきたのです。これ一つ採っても、UN が「連合国」である事は明白です。第二に、「United Nations」の訳し方です。例えば、英国(の国名)は、「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」(グレート-ブリテン及び北アイルランド連合王国)と言い、通称「United Kingdom」(連合王国)と呼ばれています。「United」は「連合」、「Kingdom」は「王国」なのです。それが、なぜ「United Nations」は「国際連合」なのでしょうか? 「United Kingdom」の例からすれば、当然「連合国」と訳すのが適当な筈です(支那は、「聯合国」(連合国)と正訳している。ちなみに、「United States」は「合国」ではなく、「合国」と訳すべき)。まあ、どう言う経緯で、UN を「連合国」ではなく、「国際連合」と和訳したのかは判りませんが、この「誤訳」こそが、今日に至る迄続く日本人の UN への過剰な「期待」や「幻想」となった事は否めません(当時の日本政府が、国民に「連合国」に加盟するとは言えなかったからでしょうか? とすれば、「仕組まれた誤訳」だった可能性が大!!)

て、こう言った「誤訳」(及び名称)ですが、まだまだあります。その最たるものが「自衛隊」です。英語では「Self Defence Army」(直訳すると、「自衛する軍隊」)と言いますが、軍事書籍として著名な「ジェーン年鑑」では、自衛隊は「軍隊」として扱われています。日本がいくら、「自衛隊は「軍隊」ではありません」等と言った所で、世界にそんな言い訳が通じる筈がありません。「陸上自衛隊(通称、「陸自」)・「海上自衛隊(通称、「海自」)・「航空自衛隊(通称、「空自」)を、そのものズバリ、「日本陸軍」・「日本海軍」・「日本空軍」と呼んでいる国も少なくないのです(そりゃ、そうでしょう。何と言っても、世界でも有数の軍事力を持っているんですから、「軍隊」じゃないと言う方がおかしい)。そして、海自の「護衛艦」。艦型等からすれば、「駆逐艦」・「巡洋艦」・「イージス・フリゲート艦」・「強襲揚陸艦」な筈なのですが、海上攻撃型艦船は、全て「護衛艦」と総称されています(もし、日本がたとえ「空母」を保有したとしても、やはり「護衛艦」と呼ぶんでしょうねぇ)。更に、空自のFSX計画で話題となった次期「支援戦闘機」。これは、そのものズバリ、「攻撃機」なのですが、「専守防衛」の観点から「攻撃機」と言うのはマズイと言う訳で、「支援戦闘機」と言う新語を生みました。ついでですので、その他の自衛隊関連用語を並べると、

等がありますが、旧軍時代の呼称からすると語数も増え、まわりくどくなった様な気がします(と言うよりも、用語が難しくなった。それが「狙い」?)

がとんだ所へ言ってしまいました。元に戻しましょう。今まで書いた通り、UN は誰がなんと言おうと、「国際連合」ではなく「連合国」なのです。すると、色々なものが見えてくる様になります。例えば、安保理改革問題。これは、安保理常任理事国の枠を現在の5ヶ国から拡大し、日・独等を加えようと言うもの。た・だ・し、5大国の持つ「拒否権」は与えない!! ざっと、こんな所です。要は、経済大国で UN への分担金を多く拠出している日・独等に、「大国」としてのステータスとして「常任理事国」のポストは渋々与えるが、「拒否権」と言う「特権」は決して渡さない!! と言うのが、(戦勝)5大国の「本音」なのです。つまり、現在の UN は、どう転んでも、真の「安保理改革」等出来る訳がないのです。だからこそ、経済が破綻しているロシアは元より、分担金を滞納している米国でさえも、「常任理事国」のポストを手放さないのです。ここが悲しいかな、現在の日本人には見えないのです。そして、その原因こそ、「United Nations」の「誤訳」だったのです。


前のページ 次のページ