Reconsideration of the History
201.田母神空幕長の更迭に異議あり!! 正しい事を書いて何が悪い!! (2008.11.1)

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(ま)ずは、本日(平成20年11月1日)付で毎日新聞に掲載されたとある記事の全文を引用したいと思います。長文ですが、この記事をお読み頂かないと話が進みませんので、皆さん、どうぞお付き合い下さい。

田母神・空幕長更迭:あの空幕長がまた 過去にも暴言「そんなの関係ねえ」

田母神俊雄・航空幕僚長  正式に届けず投稿した不適切な論文で、航空自衛隊トップが更迭に追い込まれた──。空自の田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が「日本は侵略国家であったのか」のタイトルで論文を公表した問題で浜田靖一防衛相は(10月)31日夜、田母神氏を更迭した。これまでも同様発言を繰り返していたため「いつか失敗するのではないかと心配だった」との厳しい声も聞こえた。【本多健】

 防衛省は内規で、隊員が職務に関する意見をメディアなどで発表する際、文書で上司に届けることを求めている。空幕長の場合、官房長に連絡する必要があった。だが関係者によると、田母神氏は論文を「職務には関係のない、個人的な研究内容の結果を投稿する」と説明し、正式な文書による連絡は不要と考え、背広組への連絡は口頭で済ませただけだったという。

 制服組の一部は、政府見解と異なる論文の内容を危ぶみ、田母神氏に対して論文投稿を見合わせるよう水面下で説得を続けたが「個人的な持論」という主張に押し切られた。

 制服組幹部は「自衛隊では(有事の際、超法規的行動があり得るとした)来栖発言など言葉遣いを誤って幹部が責任を問われる歴史が繰り返されてきた」と説明。田母神氏については「ユーモアを交ぜながらも、どこまで制服組の発言が許容されるかのパイオニアになろうと瀬踏みしている印象があった。すごいなと思う半面、いつか失敗するのではと心配だった」と話した。

 いったん帰宅後、騒ぎが大きくなって再び外出した田母神氏は「更迭」の連絡を電話で受けたとみられる。田母神氏は「自分の思いを書いた」と浜田防衛相らに釈明した。浜田防衛相は31日夜、報道陣に「本人には立場上問題ではないかと話した。もしも(反響を呼ぶことが)分かっていれば、また違った対応を取ったでしょう」と突き放した。

 田母神氏は福島県出身。ユーモアを交えながらぼくとつとした口調で語り、部隊内では政治と安全保障に関するストレートな発言は有名だった。周囲にも「国民に対し、制服組がきちんと説明責任を果たすべきだ」という信念を強調していた。

 その発言が論議を呼ぶこともあった。4月の記者会見では、イラク派遣部隊の多国籍軍兵士輸送に関して名古屋高裁が出した違憲判断について、人気タレントのギャグを引用して「そんなの関係ねえ」と発言。その後「(司法判断が)直ちに我々の仕事に関係しないという意味だった」と釈明した。

 今回の論文には、部隊内の講演などで田母神氏が度々触れる内容も多く「いつもの持論で、空幕長ならやりそうなこと」との見方も少なくない。だが背広組幹部は「言いたいことがあっても、解散が延期され野党が攻撃材料を探している中では、タイミングが悪い。イラクからの空自部隊撤収が12月にあるのに」と心配していた。

 ◇審査委に渡部氏ら

 アパグループのホームページによると、懸賞論文は「日本が正しい歴史認識のもと真の独立国家として針路を示す提言を後押しする」目的で募集、最優秀賞には懸賞金300万円を与える。審査委員長は保守派論客の渡部昇一・上智大名誉教授。グループ代表の元谷外志雄氏は、藤誠志のペンネームで歴史認識に関する著作活動をしている。アパグループは71年設立。ホテル、マンション開発を手がけ、昨年は一部のマンションが耐震強度偽装事件の舞台となった。

 ◇とんでもない妄想−−作家の梁石日(ヤン・ソギル)さんの話

 航空自衛隊のトップがあんな論文を書くようでは、本当にシビリアンコントロールが働いているのかと思わざるを得ない。旧満州や朝鮮半島が、日本政府と日本軍の努力によって生活水準が向上したなど、とんでもない妄想だ。なぜこのような極右の人物を空幕長にしたのか。こんなことでは日本が本質的に軍国主義から脱していないと、アジアの国々から思われかねない。

 ◇立場をわきまえず−−軍事アナリストの小川和久さんの話

 田母神氏の論文公表は、航空自衛隊トップとして立場をわきまえない幼児的な行動だ。内容も非科学的で、自衛隊をはじめ、日本に単純思考のタカ派が台頭しているのではないかとの警戒感を世界に与える恐れがある。国家の存亡を左右する組織トップの不祥事だけに、更迭で終わらせるのではなく、厳しく処罰されるべきだ。

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 ◇空幕長論文<抜粋>

 アメリカ合衆国軍隊は日米安全保障条約により日本国内に駐留している。これをアメリカによる日本侵略とは言わない。二国間で合意された条約に基づいているからである。我が国は戦前中国大陸や朝鮮半島を侵略したと言われるが、実は日本軍のこれらの国に対する駐留も条約に基づいたものであることは意外に知られていない。

 (中略)

 我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者なのである。

 (中略)もし日本が侵略国家であったというのならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。よその国がやったから日本もやってもいいということにはならないが、日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない。

 (中略)当時列強といわれる国の中で植民地の内地化を図ろうとした国は日本のみである。我が国は他国との比較で言えば極めて穏健な植民地統治をしたのである。(中略)戦後の日本においては、満州や朝鮮半島の平和な暮らしが、日本軍によって破壊されたかのように言われている。しかし実際には日本政府と日本軍の努力によって、現地の人々はそれまでの圧政から解放され、また生活水準も格段に向上したのである。

 (中略)

 さて日本が中国大陸や朝鮮半島を侵略したために、遂(つい)に日米戦争に突入し三百万人もの犠牲者を出して敗戦を迎えることになった。日本は取り返しの付かない過ちを犯したという人がいる。しかしこれも今では、日本を戦争に引きずり込むために、アメリカによって慎重に仕掛けられた罠(わな)であったことが判明している。実はアメリカもコミンテルンに動かされていた。

 (中略)

 さて大東亜戦争の後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放されることになった。人権平等の世界が到来し国家間の問題も話し合いによって解決されるようになった。それは日露戦争、そして大東亜戦争を戦った日本の力によるものである。もし日本があの時大東亜戦争を戦わなければ、現在のような人権平等の世界が来るのがあと百年、二百年遅れていたかもしれない。そういう意味で私たちは日本の国のために戦った先人、そして国のために尊い命を捧(ささ)げた英霊に対し感謝しなければならない。そのお陰で今日私たちは平和で豊かな生活を営むことが出来るのだ。

 (中略)

 東京裁判はあの戦争の責任を全(すべ)て日本に押し付けようとしたものである。そしてそのマインドコントロールは戦後六十三年を経てもなお日本人を惑わせている。日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する、だから自衛隊は出来るだけ動きにくいようにしておこうというものである。(中略)諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦(がんじがら)めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。

 (中略)

 今なお大東亜戦争で我が国の侵略がアジア諸国に耐えがたい苦しみを与えたと思っている人が多い。しかし私たちは多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識しておく必要がある。(中略)日本軍に直接接していた人たちの多くは日本軍に高い評価を与え、日本軍を直接見ていない人たちが日本軍の残虐行為を吹聴している場合が多いことも知っておかなければならない。日本軍の軍紀が他国に比較して如何(いか)に厳正であったか多くの外国人の証言もある。我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)である。

 (後略)

毎日新聞 2008年11月1日 東京朝刊
元記事URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081101ddm041010152000c.html?inb=yt

空自衛隊のトップ、田母神俊雄・航空幕僚長(以下、「空幕長」と略。尚、空幕長の階級章は諸外国の空軍大将に相当)が自ら書いた論文によって、更迭に追い込まれた事は皆さんも既にご存じの事でしょう。確かに田母神論文が内外に大きな波紋を呼んだ事は事実です。それだけ記述内容が刺激的だったのでしょうし、それを書いたのが現職の航空自衛隊トップだったと言う事も衝撃的だったのでしょう。然(しか)し、更迭するとは如何(いかが)なものか? 私はそう思うのです。より踏み込んで言えば、田母神空幕長は少なく共、大筋で嘘を一つも述べてはいません。その事は、私が「歴史再考」の中で過去に発表した小論をお読み頂ければ分かる事です。例えば、旧日本軍が大陸に駐留していたのは、指摘の通り正式な条約に基づいたものであり、法的な地位には『日米安保条約』に則り日本に駐留している現在の在日米軍とさして変わりはありません。その点では、旧日本軍は「侵略軍」たり得ません。

、満州や朝鮮半島云々の話も、日本進出後、現地が経済発展した事は事実です。日韓併合以前の朝鮮半島は、例えれば現在の北鮮(北朝鮮)の如き状態で、両班(ヤンバン;朝鮮貴族)達が風雲急を告げる極東情勢(清国は欧州列強の蚕食を受け、日本も黒船ショックで開国維新)と飢餓に苦しむ人民を横目に、せっせと党派争い(権力闘争)をしていたのが真実です。若(も)し、日本が日韓併合をしていなかったら、代わりにロシアが併合していた事でしょう。然も、日本は併合後、他の列強の植民地政策とは異なる「内鮮一体化」(朝鮮半島を日本内地の延長と見なし、各種インフラの整備から人民の生活レベル向上に至る迄、日本内地と同等にしようとした政策)を行い、朝鮮半島の近代化と発展に尽力しました。それがロシアだったとしたら・・・朝鮮人は、彼らが「日本による植民地支配」で受けたと嘯(うそぶ)く所の「搾取」を文字通り受けたであろう事は想像に難(かた)くありません。一方の満州にしても、日本が満州を「侵略」したと言うのであれば、満州族の土地(だからこそ、「満州 Manchulia」と呼ばれたのである)に、何故(なぜ)、日本が進出する以前に支那人(その頭目が満州軍閥の首領であった張作霖・学良父子である)が居(い)たのか? 彼らこそ、満州族の土地を「侵略」したのでは無いのか?と言う根本的問題に突き当たります。因(ちな)みに、日本は、満州族の土地である満州に、清朝の元皇帝で満州人である愛新覚羅溥儀氏を国家元首(建国当初は執政、後に皇帝)として迎え、国家の独立を後援しているのです。この事すら、「日本による傀儡」と主張する向きもありますが、それでは、反米とは言え主権独立国家であったイラクに軍事侵攻し、サッダーム=フセイン大統領を拘束、彼を都合良く処刑した上で、「イラク民主化」の名の下(もと)に親米政権を樹立させ、今尚、米軍を「平和維持軍」としてイラク領内に駐留させている米国はどうなのか? まあ、簡単に言えば、そう言う事です。その他にも挙げればきりがありませんが、私が田母神空幕長を擁護する上で、先ず言っておきたい事があります。それは、

日本は憲法によって言論の自由が保障されている

のでは無かったのか?と。田母神氏は空自のトップです。ですから、自身の発言が大きな影響力を持ち、物議を醸(かも)す可能性は充分に予見出来た筈です。だからと言って、言論の自由が保障されている国で、言論弾圧の如く彼を糾弾し、ましてや更迭するとは如何なものか? 彼以上に日本の国益を著しく損なう発言や行動をしてきた政治家 ── 例えば、村山富市(元首相)や河野洋平(衆議院議長) ── が更迭や辞職に追い込まれていない事を考えると明らかに不公平である。そして、もう一つ言っておかねばならない事があります。それは、

事実を述べて何が悪い!!

と言う事です。初めにも書きましたが、田母神氏は自身の論文に於いて大筋で嘘は一つも述べていません。正しい事を論文に書いて、それで糾弾され、終(しま)いに更迭される等とは、随分な仕打ちでは無いでしょうか? 内容的に衝撃的だったにしろ、間違った事を述べていない以上、更迭と言う人事は暴挙としか言いようがありません。これこそが正に言論弾圧であり、日本を言いたい事も満足に言えない

言論統制国家にでもしたいのか?

と叫びたくもなります。

り返しますが、田母神空幕長は、憲法により「言論の自由」が保障されているこの日本に於いて、論文上に事実を述べたに過ぎません。にも関わらず更迭されたと言う事は、「言論の自由」を保障する憲法 ── 護憲派が礼賛する所の『日本国憲法』と言う名の占領基本法 ── に対する重大な違反、背信行為では無いのか? 日本国籍を保有しない在日朝鮮人=外国人である梁石日氏にコメントを求める位ならば、論文を審査、田母神氏を最優秀賞に選定した審査委員長の渡部昇一氏にこそ、コメントを求める可(べ)きでは無かったのか? 公平性を求められる大新聞である筈の毎日新聞の記事を読み終えた私は、歪んだメディアの姿勢に対し猛省を促したいとの気持ちを強く持ちました。

、最後に一言。この小論の読後、私に対し批判・非難・質問のメールをお送り頂いても一切返信は致しません。色々と文句がおありの方もおられる事と思いますが、その様な方々に対しては、この場を借りて先に斯(か)くの如く返答させて頂きます。

そんなの関係ねえ!!

と。(了)


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