Reconsideration of the History
245.私は石原都知事の爆弾発言「尖閣諸島の東京都による購入」を支持する!! (2012.4.18)

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東京都による尖閣群島購入を表明する石原慎太郎・都知事
東京都による尖閣群島購入を表明する石原慎太郎・都知事
訪米中の石原慎太郎・東京都知事が、平成24(2012)年4月16日(現地時間)、ワシントンでの講演の際、「東京都による尖閣群島の購入」と言う爆弾発言を口にした。御年79歳の老政治家の吐いた怪気炎は、不甲斐無い弱腰外交で日本の国益を著しく損ねている鳩山・菅・野田三代に亘る民主党政権に対する痛烈なカウンターパンチ共言えよう。
尖閣群島と沖縄諸島・宮古列島・八重山列島の位置関係(地図)
南西諸島に於ける尖閣群島の位置関係
尖閣群島(諸島)は南に約160km離れた八重山列島の石垣市(石垣島)に属しており、「日本国沖縄県石垣市字登野城2360番地〜2365番地」と言うれっきとした地番が付けられている。群島は魚釣島・久場(くば)島・大正島・北小島・南小島の五つの主要島と、其れに付随する四つの小島及び三つの岩礁から成っている。主要五島の内、大正島以外は民有地で、今回、石原都知事が購入を表明したのは埼玉県在住の69歳の男性が所有する魚釣島・北小島・南小島の三島である。
石原・東京都知事と握手を交わす橋下徹・大阪市長
石原・東京都知事と握手を交わす橋下徹・大阪市長
首都・東京を補完する「大阪都」構想で石原都知事と協調関係にある橋下徹(はしもと-とおる)大阪市長(前大阪府知事)は、今回の石原都知事による尖閣群島購入発言に対し、既に構想を聞いていた事を明らかにした上で、「普通の政治家では中々思い付かない事。外交(問題)もあるが、石原都知事にしか出来ない様な、判断と行動だ」と述べ、即日、支持を表明した。
中山義隆・石垣市長
尖閣群島を所管する沖縄県石垣市の中山義隆市長
日本最西端・最南端の市で尖閣群島を所管する沖縄県石垣市の中山義隆市長。「中国」(支那)の直接的脅威に晒されている国境の島を抱える自治体の長として、国防問題に対する意識は他の地域よりも強い。実際、東京都による尖閣群島購入構想を事前に知らされていたと言い、「個人よりは、国や県、地方自治体が所有する方が得策ではないか。市との共同所有が望ましい」と発言。石原都知事の構想を好意的に受け止めている。
仲井眞弘多・沖縄県知事
仲井眞弘多・沖縄県知事
在日米軍の基地問題等で常に国と対立している沖縄県の仲井眞弘多(なかいま-ひろかず)知事。然(しか)し、さしもの知事も「国境の島」であり、尚且つ「中国」(支那)からの現実的な脅威に晒(さら)されている尖閣群島を守る為と言う大義名分を掲げての「右翼政治家」石原都知事の東京都による購入構想に対しては、「なんとなく安定性があると言う感じがする」と述べ一定の理解を示さざるを得なかった。
藤村修・内閣官房長官
藤村修・内閣官房長官
石原都知事による東京都の尖閣群島購入発言を受けて行われた同日(平成24年4月17日)午前の記者会見では「(政府は)承知していない」と発言、不快感を示した藤村修・内閣官房長官だったが、午後の記者会見では「必要なら、そう言う発想の下で前へ進める事も十分あり得る」と東京都に代わって国が買収、尖閣群島全島の国有化も検討していく考えを示した。此には石原都知事を牽制する意味合いもあるが、同時に、都知事発言に政府が引き摺られている事の証左でもある。
藤村修・内閣官房長官
野田佳彦・内閣総理大臣
平成24(2012)年4月18日午前の衆院予算委員会に於いて、自民党の中谷元・元防衛庁長官が石原都知事の発言を受けての尖閣群島に対する国の対応を質(ただ)した際、野田佳彦(よしひこ)総理も、「尖閣が我が国固有の領土である事は国際法上も歴史的に見ても明々白々だ。所有者の真意も確認する中で、あらゆる検討をしたい」と述べ、国有化も選択肢に検討する考えを示した。「泥鰌(どじょう)総理」の此の発言は、正に石原都知事の目論み通りと言った所だ。
「大いに物議を醸(かも)してくる」 ── 平成24(2012)年4月12日から19日迄、8日間の日程で訪米中の石原慎太郎・東京都知事。その石原都知事が訪米前、都の報道課職員に漏らした通りの事が17日未明(米国東部時間の16日午後)、現実のものになりました。そう、もう既に皆さんもテレビや新聞でご存じの事とは思いますが、ワシントンでの講演の際、何の前触れもなくいきなり、

尖閣諸島を東京都が購入する!!

と爆弾発言をしたのです。具体的には、日本領である事が疑う可(べ)くも無いにも関わらず、周辺海域の「お宝」(豊富な海底資源及び水産資源)に目が眩(くら)み、後から勝手に領有権を主張してきた「中国」(支那)が、平成22(2010)年9月7日の「尖閣諸島沖漁船衝突事件」以降、益々顕著露骨に領有権を主張。更には漁船ばかりで無く公船(漁業監視船や海洋調査船等)迄繰り出して、尖閣群島(尖閣諸島、尖閣列島共呼ばれ、沖縄県石垣市の所管)周辺の接続水域、更には日本領海への侵入も繰り返している現状に対し、国=日本政府(民主党政権)が何ら具体的且つ適切な対応を採らない事に苛立(いらだ)ちを覚えた石原都知事が業(ごう)を煮やし、知人であり尖閣群島の内、最大の島である魚釣島及び北小島・南小島の三島を所有する埼玉県在住の地権者(69歳)と水面下で譲渡交渉を展開。従来から尖閣群島の防衛に並々ならぬ思いのある石原都知事と、自らの所有する「国境の島」の防衛問題と民間人を装った「中国」政府関係者による買収工作に危惧を抱き、国なり地方自治体と言った公的機関による買い取りを望んだ地権者との利害が一致。都知事・地権者間では年内の譲渡も可能な所迄、話が進み、わざわざ米国、然も首都ワシントンでの講演と言う舞台を選んで「爆弾発言」が為された訳です。

京都による尖閣群島の購入 ── 「大阪維新の会」を率いて大阪(関西)から国の変革を推し進めようとしている橋下徹(はしもと-とおる)大阪市長(前大阪府知事)や、尖閣群島を所管する地元・石垣市の中山義隆市長は早速、支持・歓迎を表明し、仲井眞弘多(なかいま-ひろかず)沖縄県知事も「なんとなく安定性があると言う感じがする」と述べ一定の理解を示している今回の構想。17日午前の記者会見で「(政府は)承知していない」と発言、不快感を示していた藤村修・内閣官房長官ですら、午後の会見では「必要なら、そう言う発想の下で前へ進める事も十分あり得る」と東京都に代わって国が買収、尖閣群島全島の国有化も検討していくと見解を一転。遂には18日午前の衆院予算委員会の場で自民党の中谷元・元防衛庁長官の質問に対し、答弁に立った野田佳彦(よしひこ)総理迄もが「尖閣が我が国固有の領土である事は国際法上も歴史的に見ても明々白々だ。所有者の真意も確認する中で、あらゆる検討をしたい」として、国有化も選択肢に検討するとの考えを示しました。此等(これら)一連の流れを見てみると、明らかに風は石原都知事の側に吹いている様に見えます。然(しか)し、事はそう簡単に進むものではありません。越えねばならないハードルが幾つも目の前に立ちはだかっているのです。

京都による尖閣群島の購入 ── 幾ら石原都知事と地権者との間で合意が為されたとしても、石原都知事が島をポケットマネーで購入する訳ではありません。資金の出所は東京都の会計から。詰まり、都民が納めた税金で賄(まかな)われる事になります。東京都は関東近隣の他県にも土地を所有してはいますが、都心から直線距離で1,900km近くも離れた尖閣群島ともなると話は別です。此程(これほど)離れた、然も人っ子一人住んで居(い)ない絶海の島を購入する必然性 ── 其れも東京都が購入せねばならない理由が明確にならなければ、流石(さすが)に都民の中からも反対の声が上がるであろう事は当然でしょう。又、1件当たり2億円以上で2万m2以上の土地購入契約に付いては、都議会の議決が必要になりますが、現時点では都議会各会派から賛成同意を取り付けられる見込みも立ってはいませんし、其れ以外にも、予算措置や審議会によるチェック等、課題は山積みです。いや、抑(そもそ)も今回の購入話は石原都知事と都の一部関係者のみで極秘に進められてきたもので、大半の都の職員も都議会議員も正に寝耳に水であった訳です。そうなると、蚊帳(かや)の外に置かれていた人達が、言い方は悪いですが臍(へそ)を曲げ、同意形成に持ち込む事も容易ではありません。(この辺りは良くも悪くも日本の慣習である「根回し」が重要になってくる) 更には、尖閣群島が紛(まご)う事無き日本の領土であるとは言っても、一方的に領有権を主張している「中国」と台湾 ── 特に「中国」がこの儘(まま)黙っている筈が無く、「尖閣諸島沖漁船衝突事件」の際と同様、両国の重大な外交問題に発展するであろう ── 既にその兆しは現れている ── 事は目に見えています。となると、対中外交で弱腰の民主党・野田政権や外務省が、表では「尖閣群島の国有化」を口にし乍(なが)ら、裏で購入話を頓挫させる可(べ)く策を弄(ろう)するであろう事も想像に難(かた)くありません。結局、幾ら石原都知事が一人気を吐いた所で、そう簡単に事が進む程容易な話では無い訳です。そう考えると、石原都知事が本当に尖閣群島を購入しようとしているのか?との疑問も湧いて来ます。其の辺りは当の本人で無い以上、推し量(はか)るしかありませんが、石原都知事は尖閣群島の購入が実現出来れば良し、例え実現出来なく共「所期の目的」が達成されれば其れで良いと考えているのでは無いか?と私は見ています。(とは言え、あの「元気なジイさん」の事、意地でも購入してやろうと考えても何ら不思議では無いのだが)

閣群島を東京都が例え購入出来なく共達成されれば良い「所期の目的」とは一体何なのか? 一つは日本国民に向けての喚起です。「中国」が「口先だけ」の単なる領有権主張から、自国漁船の尖閣海域への侵入・違法操業の「促進」(中には軍関係者を「漁民」に仕立てる等して「民間船」を大挙送り込んでいる)、更には海洋調査船や準軍艦である漁業監視船(漁政)の海域への侵入から、孰(いず)れは正真正銘の軍艦の派遣進出と言う実力行使にエスカレートしてくるであろう事は火を見るよりも明らかです。其れを許さない為には、海上保安庁の巡視船による一層の警戒監視や、自衛隊の艦船や航空機による即応対処と言った「力」による対応が当然の事乍(なが)ら重要となります。然し其れ以前に、「中国」によって日本の主権が侵されていると言う危機感と其れを防ぐ為の断固たる対応を政府に求めると言った意識なり世論を日本国民が持っていなければ ── 国民による「後方支援」(バックアップ)が無ければ、実際に最前線(現場)で対応する海上保安庁や自衛隊の隊員が真価を遺憾無く発揮する事等到底出来ません。其の観点からも、尖閣問題に国民の目を向け喚起する事は極めて重要なのです。

閣群島を東京都が例え購入出来なく共達成されれば良い「所期の目的」の二つ目とは一体何なのか? 其れは「尖閣諸島沖漁船衝突事件」の対応でも「実績」のある日本政府=民主党政権の弱腰外交への突き上げです。其れを物語っているのが、今回、石原都知事は尖閣群島の購入を表明するに当たって述べた此のくだりです。曰く、

本当は国が買い上げたら良いのだが、東京が買う事にした。東京が尖閣諸島を守る。海洋国家日本の前途を開く為、この島々を舞台に様々な施策を展開する」

と。正に其の通りで、国境の島、然も外国が勝手に領有権を主張し始め、言うだけで無く最近では実際の行動を伴って「侵略」しようとしている。其れにも関わらず、国(政府)は相も変わらず消極的な姿勢に終始している。此ではまるで

さあ、尖閣群島を盗(と)って行って下さい!!

と言っているのも同然です。日本は終戦のどさくさにロシアに北方領土(通常は歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)・国後(くなしり)・択捉(えとろふ)の南千島四島を指すが、私はこれに加えポーツマス条約以降に日本が領有していた中千島・北千島及び南樺太を指している)を盗られ、終戦後独立した韓国に竹島(韓国名は「独島(トクト)」)を盗られ、其れ等(それら)の地域は相手国に占領支配された儘、一向に返還される兆しすらありません。詰まり、国が消極策を採り続け尖閣群島が「中国」によって侵略占領されてから、やいのやいのと文句を言ったのでは遅いのです。であるならば、日本がしなくてはならない事は虎視眈々と尖閣群島の占領支配を目論んでいる「中国」から如何にして尖閣群島を守るか? 如何にして侵略の機会を与え無い様にするか? 此に尽きる訳です。其の為には、民有地である魚釣島(平成22年賃借料 2,110万円)・北小島(同150万円)・南小島(同190万円)の三島に対し、国が地権者に金を払って賃借した上で、「何人(なんぴと)たり共上陸する事罷(まか)り成らぬ」としている現在の「空島政策」を今後も採り続けるのでは無く、きちんと国が買い取って国有地にした上で、其処(そこ)に自衛隊を常駐される等の措置を講じるのが筋です。然し、そう言った事を国が今迄してこず、今後も其の見込みが無い。其れ故、業(ごう)を煮やした石原都知事が痺(しび)れを切らして「東京都による尖閣群島購入」と言う奇策を打ち出したのでしょう。そして、実際この爆弾発言が多少なり共奏功し、藤村官房長官や野田総理から尖閣群島の国有化に関する言質を引き出した訳で、正に所期の目的達成の為の地均(ぢなら)しにはなった訳です。

(さて)、「東京都による尖閣群島購入」構想に付いてですが、購入費用の捻出、都議会での議決と言った様々な問題を考える時、例えリーダーシップのある石原都知事が地権者と基本的に合意した上で打ち出したものであったとしても、実際の所、其の実現は非常に難しいものと考えています。然し、口では「東京都による購入」と言っているものの、国が本腰で東京都に代わって購入した上できちんと管理すると言うのであれば、石原都知事とて都有地にする事に固執したりはしないでしょう。何故なら、抑(そもそ)も尖閣群島を都有地にする事が目的なのでは無く、都有地にする事は飽(あ)く迄も「尖閣群島を守る」と言う目的を達成する為の手段に過ぎないからです。であるならば、結果的に尖閣群島が守られるのであれば、都有地だろうが国有地だろうが全く関係ありません。其の様に考えると、石原都知事の爆弾発言が発端となって、国が「中国」からの侵略に晒(さら)されている「国境の島」尖閣群島の本格防衛に重い腰を上げる。「日本の主権は日本が守る」と言う気概を内外に宣明する一つの起爆剤となるのであれば、石原都知事の所期の目的は正に達成された事となり、後ろを向いて「してやったり」と舌を出すのかも知れません。そして、水面(みなも)に投げ込まれた石が波紋を広げるが如く、日本国民の間に、

日本の領土(尖閣群島)は日本人自身の手で守っていこう!!

と言う機運が今後益々広がっていく事を私自身強く望んでいます。(了)


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