Reconsideration of the History
43.「大和民族」等幻想の産物だ!! 「日本合衆国」のススメ (1998.12.7)

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本人を指す言葉に「大和(やまと)民族」と言うものがあります。この語は、日本人を「単一民族」と考えた場合に使われるものですが、果たして日本人は「単一民族」なのでしょうか? 某政治家が以前、「日本(国)は単一民族国家」なる発言をしましたが、私はこれを全面否定したいと思います。ずばり、日本は「多民族国家」であると。と言う訳で今回は、日本が「単一民族国家」ではなく「多民族国家」である事を証明したいと思います。

本人は単一民族ではない!! では、なぜそう言えるのでしょうか? まずは、身近な所から見ていきましょう。それは「顔」(及び身体的特徴)です。例えば、皆さんの身近にいる人達の「顔」を見てみて下さい。どうでしょう? 色々な「顔」があると思います。「典型的」な日本人顔から、東南アジア系が入っている顔、はたまた、欧米人よろしく色白で鼻筋が通った顔・・・千差万別です。中には「ハーフ」もいるでしょうが、面白いのは、数世代遡っても血筋に外国人が顔を出さないにも関わらず、「日本人離れした顔」を持つ人達がいる事です。彼らは、決して「ハーフ」ではないのです。にも関わらず、「外人顔」なのです。なぜ、その様な事が起こるのでしょうか? 一つ考えられる事は、遙か昔に「混血」したと言う事です。つまり、数百年を経て顔が「先祖帰り」−ご先祖様の顔の特徴が突然出たと言う事です。

本人は単一民族ではない!! その第二の理由は、「帰化人」の存在です。「帰化人」と言うのは、一般に「外国人で日本国籍を取得した者」(例としては、小泉八雲・東関親方・ラモス留偉等)を指しますが、ここで取り上げる「帰化人」とは、主として大陸や朝鮮半島等から古代日本に渡来した人々を指します(下表参照)

代表的な帰化系氏族

氏族名 備   考
秦氏(はた) 応神天皇の時、秦始皇帝の子孫・弓月君(ゆづきのきみ)一族が渡来(伝承)
王仁一族(わに) 応神天皇の時、前漢高祖の子孫、王仁が、「論語」・「千字文」を携えて渡来(伝承)
東漢氏(やまとのあや) 応神天皇の時、後漢霊帝の曾孫・阿知使主(あちのおみ)一族が渡来(伝承)
百済王氏(くだらのこにきし) 百済義慈王の直系・禅広の子孫で、母国滅亡(660年)後、渡来
大内氏(多々良氏) 百済聖明王の第三子・琳聖太子の子孫で、戦国時代、山口を本拠に西国7ヶ国を支配

いかがでしょうか? 「日本は単一民族国家」と言う「幻想」は、ここで早くも崩壊してしまいました。古代−大和朝廷の時代から、数限りない「帰化人」が大陸から朝鮮半島を経由して日本へ押し寄せて来ていたのです。

本人は単一民族ではない!! その第三の理由は、大和朝廷(及びその後継政権)の「全国統一譚」に登場する数々の雄族の存在です。例えば、「九州征服譚」には、熊襲(くまそ)隼人(はやと)と呼ばれる勇猛な種族が登場します。彼らは大和朝廷の九州征服に対して果敢に抵抗しました。この中の隼人族の盾は、南方系−ポリネシア等と同じ文様(逆S字形の波紋)が描かれており、南方から渡来した人々であった事が多分に想像できます。又、「東北征服譚」に登場した蝦夷(えみし)も、アイヌ族や北方のオロチョン族が主でした。現在、全国に「茶臼山」(ちゃうす-やま)と言う名の山が数多くありますが、「茶臼」(チャウス)とは本来、アイヌ語の「チャシ」(城砦)が語源だと言われています。

本人は単一民族ではない!! 最後の理由は、「在日外国人」の存在です。例えば、「在日韓国・朝鮮人」(私はむしろ、「日系○○人」同様、「韓国・朝鮮系日本人」と言う方が正しいと思うのですが)「在日中国人」(中華街に多いですね)等です。他にも、東南アジアや南米・中東(イラン等がよく知られている)からも多くの外国人が来日・在住しているのが実情です。つまり、誰がどう言おうと、日本は「単一民族国家」ではあり得ないのです。「在日韓国・朝鮮人」の存在一つとっても、日本は「多民族国家」と言う事になるのです。そこで私が提案したい事は、

日 本 合 衆 国
United "Peoples" of JAPAN

です。多種多様な民族・文化・宗教が平和の内に同居(混在)する国・・・。かつて、戦国時代の覇者・織田信長は、積極的に南蛮文化を取り入れ、キリスト教会の建立も許可しました。その結果、日本は爛熟し、中世から近世へと脱皮したのです。停滞日本から脱却し、より爛熟発展するには、かつて漢字や律令制を導入し、南蛮文化を取り入れ、ジャパナイズ(日本化)した先達の様に、異文化を積極的に取り入れる事。そして、日本文化と異文化を融合し、昇華させる事が必要だと思うのです。その為の第一歩が、日本が「多民族国家」−「日本合衆国」("United Stats"ではありません)を認める事なのです。


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