Reconsideration of the History
220.反捕鯨派よ、よく聞け!! 「海のならず者」シーシェパードを支持する者も彼等と同罪だ!! (2010.2.1)

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造費用300万ドル(日本円で約3億4000万円)、船体には炭素繊維とケブラー繊維を用い、大豆、カノーラ油、葡萄エキス、更には人間の脂肪ですら燃料に使用可能な100%バイオディーゼル・エンジンは45節(ノット:時速約83km)もの高速航行が可能。当初は「アース・レース(Earthrace)」号と名乗り、モーターボートによる世界一周最速航海記録の更新を目的としていましたが(実際に2008年6月27日に記録更新)、2009年10月17日、シー・シェパード(以下、単に「SS」と略)の活動に参加する事で合意。名を「アディ・ギル(Ady Gil)」号と改めたその船は、2010年1月6日、南極海に於いて日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」に執拗に接近しては調査活動を妨害。最後は「第2昭南丸」と衝突し大破。挙げ句の果てにはSSの僚船「ボブ・バーカー」号により、フランスが南極に設けているデュモン・デュルヴィル観測基地へ曳航される途中の1月8日に放棄 ── 詰まりは「海洋投棄」され、その一生を終えました。

シー・シェパードの捕鯨抗議船 日本の監視船と衝突

産経ニュース 2010年1月6日 16:07

第2昭南丸(右側)と衝突した米環境保護団体「シー・シェパード」の捕鯨抗議船アディ・ギル号(日本鯨類研究所提供)
 米環境保護団体「シー・シェパード」は6日、同団体の捕鯨抗議船アディ・ギル号が南極海で日本の調査捕鯨団の監視船、第2昭南丸と衝突、航行不能になったことを明らかにした。乗組員の1人が肋骨(ろっこつ)にひびが入るけがを負ったという。水産庁は、第2昭南丸の船体に大きな被害はなく、乗組員にけがはないとしている。

 シー・シェパードによると、ギル号は抗議活動中に第2昭南丸に衝突され、船体が半分以上沈んだ状態になった。シー・シェパードは「(事故発生時)ギル号は静止していたが、突然衝突された。(日本側は)救助もしてくれなかった」と批判。調査捕鯨を行う日本鯨類研究所は、ギル号が衝突してきたとしている。

 水産庁によると、ギル号は6日午前、調査捕鯨船団の母船に薬品入りのボールのようなものをぶつけたり、船団に異常接近するなどの妨害行為を行った。事故当時、第2昭南丸は近づくギル号に放水などで警告したが、ギル号が急に減速するなどしたため衝突したと説明している。(共同)

(さて)、この「事故」を伝えた共同通信の配信記事を読むと、SS側は、

「(事故発生時)ギル号は静止していたが、突然衝突された。(日本側は)救助もしてくれなかった」

と主張し、日本側を批判していますが、彼等(かれら)の主張が全くの大嘘である事を示す映像が残っていますので、先(ま)ずはどうぞご覧下さい。


日本調査捕鯨船より撮影された映像((財)日本鯨類研究所提供)


SSのアディ・ギル号より撮影された衝突前の映像

アース・レース号
モーターボートによる世界一周最速航海記録を更新する目的で建造され、2006年2月22日に進水した三胴式の小型高速船「アース・レース」号。その目的通り、2008年6月27日、世界記録を更新した同船は、独創的なデザインと船体色のライトグレーが、大空のスカイブルー、大海原のマリンブルーにも映える実に美しい船だった。
アディ・ギル号
「アース・レース」号は、2009年10月17日、シー・シェパード(SS)の活動に参加。その目的を日本の調査捕鯨活動妨害に変えると同時に船体も黒く再塗装、船名もスポンサーであるハリウッドのビジネスマン、アディ=ギル氏の名を冠し「アディ・ギル」号と改名された。炭素繊維とケブラー繊維を材質に用いた三胴式の船体は「海のバットマン・カー」と言った所だが、2010年1月6日、調査捕鯨船「第2昭南丸」に衝突、あえなく大破した。
南極海を漂流するアディ・ギル号
「アディ・ギル」号は、その後、SSの妨害船「ボブ・バーカー」号に曳航されていたが、2010年1月8日、曳航用ロープが切れ南極海を漂流中の同船を(財)日本鯨類研究所が発見。周辺海域には同船より流出した燃料も確認された。ロープが自然に切れたものなのか? 或いは故意に切断されたものなのか? 孰(いず)れにせよ、大破した船を南極海にその儘(まま)、「放棄」=「海洋投棄」した姿勢は、彼等の唱える「環境保護」がまやかしである事を白日の下(もと)に晒(さら)した。
ボーガンの矢
2010年1月8日、(財)日本鯨類研究所が南極海に於いて、日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」と衝突したSS妨害船「アディ・ギル」号より海上に流出した漂流物を回収する中で発見した長さ80cmのクロスボウ(ボウガン)の矢4本。
ボーガンと矢
これが「クロスボウ」だ!! これは殺傷能力のあるれっきとした「武器」であり、今回、日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」より撮影された記録映像には、SS妨害船「アディ・ギル」号よりクロスボウの矢が発射された場面も残されている。幸いにも日本人乗組員に死傷者は出なかったが、これは明らかに「殺人未遂」に該当する犯罪行為だ。
「第2昭南丸」から撮影された記録映像を観る限り、「アディ・ギル」号が「第2昭南丸」からの警告を無視する形で執拗に接近、「第2昭南丸」の進路を遮(さえぎ)る様に前方に出た所で衝突した事が見て取れます。海上航行に於いては、国際条約である『海上に於ける衝突の予防の為の国際規則に関する条約』(通称「COLREG条約」)や日本の国内法である『海上衝突予防法』により、

   『海上衝突予防法』

第15条 2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切つてはならない。

と明記されている所から、「他船を右舷側に見る船の側に衝突回避義務がある」、詰まり、今回の場合、右舷側に「アディ・ギル」号を見ていた「第2昭南丸」側に衝突回避義務があったと言う意見もありますが、私は必ずしもその意見に同意しかねます。

えば、「第2昭南丸」を貨物を運ぶ大型トラックに、「アディ・ギル」号を「SS」と言う名の暴走族の少年が乗るバイクに見立てて、今回の事故を捉えると非常に分かり易い。大型トラックの前後左右に暴走族のバイクが接近したり、蛇行運転と言った危険走行を繰り返す。トラックの運転手はクラクションを鳴らして暴走行為を止(や)める様、喚起するもバイクの少年は耳を貸さず、遂には進路妨害しようとトラックの前方に割り込んできた所で接触。バイクは大破し少年も怪我(けが)を負った・・・。まあ、「アディ・ギル」号が行(おこな)った事はこれと似たり寄ったりの行為です。バイクは加速性も運動性もトラックよりも遙かに上ですから、トラックの周囲をちょこまかと走る事が出来ますが、トラックは鈍重な分、俊敏な運動性を求める事は不可能です。ましてや、前方に急に割り込まれでもしたら、衝突を回避する事も難しい。自動車保険では危険運転をしていたバイク側の過失割合が高く算定される事は明らかでしょう。更に言える事は、「アディ・ギル」号が「第2昭南丸」の再三の警告を無視して接近した事です。若(も)しも、「アディ・ギル」号の側に接近する事で衝突するかも知れないとの危険性が充分認識されていたならば、常識的に考えれば「第2昭南丸」には接近しなかったでしょうし、ましてや、進路を遮る形で前方に出る等と言う事はしなかった筈です。然(しか)し、現実には接触し大破した。詰まり、見方を変えれば、「アディ・ギル」号は最初から自船が接触大破する事を充分承知した上で接近していた事になり、これは体(てい)の良い「当たり屋」と同じです。その様な行為を擁護する人の方がどうかしている。その様に私は思う訳です。

ころで、事件後早々と、SSは「アディ・ギル2(Ady Gil 2)」号の建造を口にした様ですが、初代「アディ・ギル」号の建造費が300万ドルだった事を考えると(SSへの売却額は250万ドルだったと言われている)、二代目もそれに匹敵する金額(一部報道では500万ドル:日本円で約4億4千万円)が掛かると見るのが妥当です。それでは、SSはそんな大金を一体どうやって工面(くめん)出来るのか? 誰もが抱く素朴な疑問でしょう。実は「海のならず者」(と言うよりも、よりはっきり言えば「テロリスト」)を資金面で支援する企業・団体や個人がいるからなのです。実際、今回、海洋投棄された「アディ・ギル」号もスポンサーの名を取って命名されたものですが、資金援助のリストをご覧になれば、皆さんもご存じの名前が出ている事に驚かれるかも知れません。


「国際テロリスト」シーシェパードを支援する主な著名人及び団体・企業

氏名/名称 肩書き等
レイ=ガンベル Ray Gambell 国際捕鯨委員会(IWC)元委員長
ホルスト=クラインシュミット Horst Klienschmidt 国際捕鯨委員会(IWC)元副委員長(SS顧問)
イアン=キャンベル Ian Campbell 豪州 元環境相(SS国際諮問委員)
ピーター=ギャレット Peter Robert Garrett 豪州 反捕鯨担当環境相(グリーンピース元理事)
リチャード=ディーン=アンダーソン Richard Dean Anderson 米国 俳優
ピアース=ブロスナン Pierce Brendan Brosnan OBE 米国 俳優(アイルランド出身)
ダリル=ハンナ Daryl Christine Hannah 米国 女優
エドワード=ノートン Edward Harrison Norton 米国 俳優
マーティン=シーン Martin Sheen 米国 俳優
ユマ=サーマン Uma Thurman 米国 女優
ヘイデン=パネッティーア Hayden Leslie Panettiere 米国 女優・歌手
クリスチャン=ベール Christian Charles Philip Bale 英国 俳優
オーランド=ブルーム Orlando Jonathan Blanchard Bloom 英国 俳優
ミック=ジャガー Sir Michael Philip Jagger 英国 ミュージシャン・俳優
タスマニア緑の党 Tasmanian Greens 豪州 政党
パタゴニア Patagonia,Inc. 米国 アウトドアファッション・用品会社
ブルータン-ビール Bluetongue Beer 豪州 ビール製造会社
ラッシュ Lush 英国 バス用品・石鹸・美容用品会社

ピーター=ギャレット豪州環境相 ピアース=ブロスナン ミック=ジャガー
豪州の現職閣僚も、英国秘密情報部の諜報員「ジェームズ=ボンド」も、英国女王から「ナイト」の称号を叙勲されたロックの神様も、皆、国際テロリストSSの支援者だった!! (左から、ピーター=ギャレット、ピアース=ブロスナン、ミック=ジャガー)

表をご覧頂いてお分かりの様に、豪州(オーストラリア)ラッド政権の現職閣僚、ピーター=ギャレット環境相や、映画『007』シリーズで主役の5代目ジェームズ=ボンドを演じたピアース=ブロスナン、英国のロックグループ「ローリング-ストーンズ」のボーカル、ミック=ジャガー、更には登山・サーフィン・アウトドア用品の有名ブランドメーカー「パタゴニア」は、SSを支援している事で夙(つと)に有名ですし、豪州のビールメーカー「ブルータン」に至っては、横柄で威張り散らした態度の太った日本人が寿司屋で鯨料理を注文した直後に背後から串刺しにされ、寿司職人に電気ショックで止(とど)めを刺されると言うストーリーのCMを製作してTVに流したり、自社のビールが1ケース売れる毎にSSに1濠州ドル(1月26日現在の為替レートで約80円)を寄付すると言った事迄しているのです。


これが豪州のビールメーカー「ブルータン」が製作した日本人差別CMだ!!

、豪州にしろ、米国にしろ、一般市民がSS主催のパーティに参加して寄付(個人献金)しており、これでは、何隻「アディ・ギル」号が壊れようが、SSにとっては痛くも痒(かゆ)くもありません。次から次へと集まる資金で活動を継続出来るのですから。然し、繰り返しますが、彼等SSは「環境保護」・「反捕鯨」を口にはしているものの、どう転んだ所で「国際テロリスト」である事に何ら変わりはありません。であれば、我々日本人としては、例えば、SSを支援している企業の製品は買わない、SSを支援している企業がスポンサーの雑誌や映像メディア(テレビ番組や映画等)は目にしないと言った形で、自分達に出来る身近な所から「意思表示」をする事でしょう。(他にも、ローリング-ストーンズの日本公演があったとしても観に行かない・・・とか) 孰(いず)れにせよ、SSを支援する裾野の広い市民運動に対しては、我々日本人も草の根の市民運動で対抗していくしかありません。そして、その事で、例えば日豪関係に影響が出たとしても、相手(豪州国民)が何ら論理的・理性的に捕鯨問題を考える事無く、現状の儘、単純に「捕鯨は悪い」と言った思考停止を続ける事に対し、一石を投じる事は可能な筈です。何故ならば、彼等は「捕鯨が悪い」と言うだけで、鯨資源の現状や捕鯨の何たるかを、本当に考えている訳では無いのですから。

後に、何故、事程左様(ことほどさよう)に豪州や米国が反捕鯨運動に熱心なのかに付いて論じます。日本人が豪州と言って連想するのは、オペラハウスが目印のシドニーや、世界有数の保養地ゴールド・コースト、世界最大の珊瑚礁グレート・バリア・リーフ、更には世界最大の一枚岩エアーズ・ロック(神聖視するアボリジニは「ウルル」と呼ぶ)に代表される観光立国としての側面でしょう。豪州の観光産業はGDP(国内総生産)の約4%に過ぎませんが、海外からの観光客が現地に落としていく金額は約200億豪ドル(日本円で約1兆6千億円)で豪州輸出額の1割強に相当します。その観光産業の一翼を担っているのが、船上から座頭鯨(ザトウクジラ)や蝉鯨(セミクジラ)の泳ぐ姿を観察する「ホエール・ウォッチング(鯨見物)」です。例えば、西オーストラリア州のアルバニーと言う町はホエール・ウォッチングで有名な場所ですが、此処(ここ)は嘗て一大捕鯨基地があった場所で、現在も世界有数の捕鯨博物館があります。と言う事は、こうも言えます。嘗ては「鯨油(げいゆ)を取る」為、今は「外貨を稼ぐ」為、鯨を利用していると。この事自体が悪いとは言いませんが、日本の調査捕鯨船が活動しているのは豪州の主権が及ばない海域であり、別に乱獲している訳でもありません。単に自分達が「地球環境に優しい産業」(ホエール・ウォッチング)をしていると言うだけで、合法的な調査捕鯨にすら反対すると言うのは如何(いかが)なものか? 随分と身勝手な話としか言い様がありません。そして、米国も含め言える事が、もう一つあります。

豪州に於けるホエール・ウォッチング
豪州に於けるホエール・ウォッチング (写真:Tourism Queensland)

国にしろ、豪州にしろ、牛肉の一大生産国であり、日本は両国にとって主要な輸出国であると言う事です。(農林水産省の資料によると、平成17(2004)年以降、日本国内で消費された牛肉の半分以上が豪州産牛肉(オージー・ビーフ)である) そこで考えられる事は、若(も)しも、日本を含む捕鯨国側が主張している様に、鯨資源が枯渇(絶滅)の方向では無く、実際には増えているのだとしたら、捕鯨禁止どころか商業捕鯨の解禁すら検討せざるを得ません。そうなって一番困るのは恐らく牛肉輸出国、それも捕鯨国・日本を「お得意様」に抱える米国や豪州でしょう。何故なら、今でこそ、日本国内で流通する鯨肉は高価ですが、流通量が増えれば価格は下落、確実に庶民が手軽に購買可能な食肉となる事は確実だからです。歴史上、今迄一度も口にした事が無い生物の肉ならいざ知らず、嘗ては「鯨肉の竜田揚げ」として学校給食のメニューにもなっていた位ですから(私も学生時代、口にした懐かしいメニューです)、きちんと鯨肉を使った料理メニューを提案したり、その調理法をピーアールすれば、消費者から忌避される筈がありません。詰まり、鯨肉料理が日本の家庭に復活する事で、相対的に牛肉の消費量が低下、ひいては自国の対日輸出量が減少する事を懸念して捕鯨反対を唱えている側面もあるのです。

豪州産牛
豪州産牛(通称「オージー・ビーフ(Aussie Beef)」)

(いず)れにせよ、科学的根拠に基づかない反捕鯨国側の主張、「ブルータン」ビールのCMやバラエティ番組にも見え隠れする日本人に対する人種差別主義に対して、日本が譲歩する必要は一切ありませんし、過激な国際テロリストSSを支持・支援している企業・団体、そして、個人に対しても、はっきりと「NO」を突き付ける可(べ)きでしょう。今回、日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」とSSの妨害船「アディ・ギル」号の衝突に際しては、一部始終を記録した映像が財団法人日本鯨類研究所を通して公開され、全世界の人々の目にする所となりました。この映像公開により、流石(さすが)に反捕鯨派の人々ですら、SSの行動を非難し、彼等の活動に疑問を呈したり、落胆させられたと言った意見も少なくありませんでした。日本人は兎角(とかく)、宣伝やアピールが苦手な民族だと言われますが、合法的且つ毅然とした態度を取った上で有りの儘を映像記録・公開する事で、反捕鯨派の対日批判を挫(くじ)く事は少なからず可能であると考えます。


これが豪州のTV局が実際に放送した日本人殺害煽動番組だ!!

さんもご存じの有名な諺(ことわざ)

百聞は一見に如(し)かず

と言うのがありますが、同じ事を何度も何度も口を酸(す)っぱくして説明するよりも、映像化したものを唯(ただ)の一回でも良いから、相手に実際に見せる事で得られる効果の方が遙(はる)かに絶大です。その意味に於いても、日本はIWC(国際捕鯨委員会)の場に於ける「正論」の主張だけで無く、現場で撮影した「生(なま)の映像」を駆使したビジュアル作戦をも展開し、調査捕鯨の堅持どころか、日本人の食糧事情改善にも寄与する商業捕鯨の復活をも主張していく可きと言えるでしょう。(了)


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