Reconsideration of the History
224.「テロ国家」北鮮を擁護する国も同罪だ!! 「テロ国家」支援国家「中国」の非を糺す!! (2010.5.25)

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年(平成22年=2010年)3月26日、朝鮮半島西側、黄海上に設置されている「海の38度線」共言われる北方限界線(NLL)の韓国側水域の白翎島(ペクリョンド)沖に於いて、原因不明の爆発により沈没した韓国海軍浦項(ポハン)級哨戒艦「天安(チョナン)」号(全長 88.3m,満載時排水量 1,220t)に関する調査結果が、5月20日、韓国軍及び民間合同調査団により発表、北鮮(北朝鮮)のサンオ級小型潜水艦(全長 35.5m,潜水時排水量 277t)より発射された「CHT-02D」音響・航跡追尾型重魚雷(250kg)によるものと「断定」されました。

「北朝鮮魚雷で哨戒艦沈没」韓国調査団が断定

【ソウル=仲川高志】韓国軍・民間合同調査団は20日午前、海軍哨戒艦「天安(チョナン)」が北朝鮮の魚雷攻撃を受けて沈没したと断定する調査結果を公表した。

 韓国政府は今後、国連安全保障理事会での対北朝鮮制裁を求めていく方針だ。反発を強める北朝鮮は同日、制裁が行われた場合の「全面戦争」の可能性に言及するなど、朝鮮半島の緊張は高まっている。

 核問題をめぐる6か国協議の再開が遠のくのは避けられない。

 調査団の尹徳龍(ユン=ドクヨン)団長(韓国科学技術院名誉教授)が20日午前10時から、国防省で記者会見を行い、調査結果を説明した。

2010年5月20日、韓国国防省で開かれた記者会見で、回収された魚雷の部品を示す尹徳龍調査団長=AP
(2010年5月20日、韓国国防省で開かれた記者会見で、回収された魚雷の部品を示す尹徳龍調査団長=AP)
韓国海軍哨戒艦「天安」沈没地点(地図)
 それによると、調査団は、哨戒艦の切断面の形状や生存者の供述などから、「左舷で魚雷による水中爆発が発生し、衝撃波とバブルジェット効果により切断され、沈没した」と判断した。

 5月15日には、沈没現場の海底から、魚雷のスクリューやモーターなど5点を回収。分析の結果、これらはすべて、北朝鮮の海外輸出用の武器紹介カタログに掲載された魚雷「CHT―02D」の設計図の部品と寸法や形が一致したという。

 部品には、洋数字とハングルを組み合わせた識別番号「1番」が記されていた。韓国軍が2003年に回収した別の北朝鮮製魚雷と表記方法が一致したという。

 哨戒艦が沈没した3月26日の2〜3日前、黄海の北朝鮮の海軍基地に属する一部の小型潜水艇が基地を離れ、2〜3日後、基地に戻ったことも確認された。

 調査団は以上の点などから、「魚雷は北朝鮮の小型潜水艇から発射されたとしか説明できない」と結論づけた。

 李明博(イ=ミョンバク)大統領は24日にも、国民向け談話を発表する見通しだ。韓国政府は6月の国連安保理の招集を視野に、26日に訪韓する予定のクリントン米国務長官との外相会談や、29〜30日に韓国・済州島(チェジュド)での日中韓首脳会談などの場で、韓国側の立場への理解を求める。

韓国海軍哨戒艦「天安」号
 ◇調査結果の骨子▽哨戒艦は北朝鮮製魚雷による水中爆発の結果、バブルジェット効果で切断、沈没した▽魚雷は北朝鮮の小型潜水艇から発射された以外に説明できない▽沈没地点で魚雷のスクリュー、モーターなど5点回収▽回収部品にあった「1番」のハングル表記は別の北朝鮮製魚雷と表記方法が一致▽回収した5点は、北朝鮮の輸出用兵器紹介資料にある魚雷の設計図面と正確に一致

 ◆韓国海軍哨戒艦沈没=朝鮮半島西側の黄海上の南北境界線にあたる北方限界線(NLL)に近い白翎島(ペクリョンド)沖で、3月26日午後9時22分ごろ、航行中の哨戒艦「天安(チョナン)(1,200トン級、全長88メートル)に強烈な衝撃が加わり、船体は前後真っ二つに折れて沈んだ。乗員104人のうち46人が死亡。韓国軍・民間合同調査団に米英豪とスウェーデンからも専門家が参加して沈没原因の究明にあたった。

5月20日10時5分配信 読売新聞

CHT-02D魚雷
韓国海軍哨戒艦「天安(チョナン)」号の沈没地点より回収された魚雷の推進動力部とスクリュー。北鮮が輸出武器カタログに掲載している「CHT-02D」重魚雷と大きさや形態が一致した事から北鮮の物と断定された。
魚雷の一部に記された「1番」のハングル
回収された魚雷推進部の内部には、○印内に「1番」とのハングル表記が記されていた。この事から「天安」号の沈没は、北鮮の小型潜水艦から発射された重魚雷の近接爆発が原因と断定されたのだが・・・
サンオ級小型潜水艦
北鮮のサンオ級小型潜水艦。全長35.5m、潜水時排水量277tの船体に、重量250kgのCHT-02D重魚雷はかなりの重荷。ましてや水深40〜45mの浅海で、海自潜水艦でも困難な高度な魚雷攻撃が出来たのだろうか?
北鮮工作船を追跡する海保巡視船
平成13(2001)年12月22日、九州南西海域に於いて、時速33ノット(約60km/h)で逃走する不審船を追跡する海上保安庁巡視船「いなさ」。不審船は巡視船と交戦するも最後は自爆沈没。後に引き揚げられた船体の調査から、北鮮の工作船と断定された。
邦人拉致被害者の帰国(平成14年10月15日)
平成14(2002)年9月17、北鮮の首都・平壌(ピョンヤン)に於いて行われた小泉純一郎・首相(当時)と金正日・北鮮総書記による日朝首脳会談の結果、同年10月15日に5人の拉致被害者、平成16(2004)年5月22日と7月18日には先に帰国していた拉致被害者の家族が、夫々(それぞれ)祖国日本の土を踏んだ。然し、横田めぐみさんをはじめとする多くの拉致被害者が今尚、北鮮に抑留されている。(写真は、平成14年10月15日、帰国した政府専用機のタラップを、中山恭子・拉致被害者家族担当内閣官房参与と共に降りる地村保志・富貴恵夫妻(手前)と蓮池薫・祐木子夫妻)
本物の100米ドル紙幣(上)と北鮮製の偽100ドル札「スーパーノート」(下)
北鮮が武器・麻薬と並んで外貨獲得の有効手段としているのが、精巧な完成度を誇る偽札である。写真は、上が本物の100米ドル紙幣、下が米国のシークレットサービスが「C-14342」と命名している北鮮製の偽100ドル紙幣、通称「スーパーノート」だ。
の調査結果に基づき、韓国は同事件の国連安全保障理事会(以下、「安保理」と略)への提起を表明、軍事的対抗措置と言う最終選択を残しつつも、当面、国際社会による対北鮮制裁の強化を求める方針を打ち出し、同盟国である米国、そして、鳩山政権下の日本も追随する構えを取っています。然(しか)し乍(なが)ら、この調査結果には幾つかの疑問があります。第一点は、回収された魚雷部品に記されていたと言うハングルによる「1番」(1번)の表記。これが断定根拠の一つである訳ですが、当の北鮮では「1番」(1번)、「2番」(2번)では無く、通常、「1号」(1호)、「2号」(2호)と表記しており、然(しか)も記されていたハングルは印刷されたものでは無く「手書き」だった事。第二点は、発見回収された「CHT-02D」重魚雷の重量から見て、サンオ級小型潜水艦に搭載するにはかなり無理がある事。第三点は、水深40〜45メートルの現場海域に於いて、如何(いか)に小型潜水艦とは言え、無理矢理搭載した重魚雷による雷撃(魚雷攻撃)が可能だったのか?と言う事。何しろ、世界最高水準の技量を誇る海上自衛隊の潜水艦でさえ、現場海域よりも遙かに深い水深200mの海中での雷撃訓練には苦労しているのですから。そして、最大の疑問点。それは、哨戒艦が「魚雷の艦体直下での近接爆発による衝撃波とバブルジェット現象による艦体中央部の切断」によって沈没したとの断定とは別に、艦尾で爆発が起きていた事です。これが同じく雷撃によるものなのか、将又(はたまた)、推進機関の不具合や、搭載兵器の何らかの原因による誘爆等、哨戒艦自身に起因するものだったのか、それが完全に解明されなければ、北鮮による攻撃と断定するには無理があります。実際、5月3日から4日間の日程で「中国」(支那)を訪問した北鮮の最高指導者、金正日(キム=ジョンイル)国防委員長兼朝鮮労働党総書記は、胡錦濤(フー=チンタオ)「中国」国家主席との首脳会談の席上、「我々はやっていない。韓国が勝手に我々の犯行と言っているだけだ」と言明。ロシアも、外務省のアンドレイ=ネステレンコ報道官を通じ、「沈没原因の有力な証拠は無い」と声明。韓国発表の調査結果に対し「留保」の姿勢を取っています。まあ、「中国」にしろ、ロシア(旧ソ連)にしろ、共に北鮮とは関係があり、日米同盟を牽制する意味合いからも、諸手(もろて)を挙げて同調する事はあり得ない訳ですが、とは言え、先に挙げた幾つもの疑問に対する明確な答えが出なければ、嘗(かつ)て米国が「大量破壊兵器の開発と保有」を口実に、フセイン政権下のイラクに対し、米英を主力とする「有志国連合」を以て軍事侵攻。その後、実際には大量破壊兵器が存在しなかった事が明らかとなり、米国の掲げた「戦争の大義」は失われ、内外から激しい非難を浴びたイラク戦争の二の舞にもなりかねません。私は、固(もと)より、北鮮を日本に対する敵国と認識していますが、韓国が発表した調査結果に疑問が投げかけられている以上、日本、然も、一国の政(まつりごと)を預かる身である鳩山総理が、何らの検証もしない儘(まま)、韓国に拙速に同調す可(べ)きでは無いものと考えますし、寧(むし)ろ、日本はロシアが取ったのと同様、韓国が示した情報を独自に分析し、その結果を踏まえた上で判断しても、決して遅くは無いものと考えます。(日本が拙速に「北鮮犯行説」を支持、同調したは良いが、後になってイラク戦争時の「大義」と同様、真相が別の所にあった場合、日本の威信に傷が付くのは固より、北鮮に付け入る口実を与えかねない。それ故、当事者では無い日本は、この問題に関し慎重にも慎重を期す可きなのである)

(さて)、此処迄(ここまで)、長々と韓国哨戒艦沈没事件に関し、「北鮮擁護の論陣」(?)を張っていた訳ですが、とは言え、先に述べた通り、私が北鮮を日本に対する敵国であると認識している事には変わりません。何しろ、小ブッシュ政権下の米国が、平成20(2008)年10月11日、北鮮に対する「テロ支援国家」指定を解除した事を苦々(にがにが)しく思っていた位ですし、個人的には、今現在も、北鮮を米国が指定していた「テロ支援国家」では無く、「テロ国家」そのものであると思っている程(ほど)です。ですから、今回の韓国哨戒艦沈没事件の犯人が北鮮であったか否(いな)かに関係無く、日本は、邦人拉致問題や工作船による不法侵入、偽札や麻薬、更には国連安保理・国際原子力機関(IAEA)・朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)との協定に違反して核兵器開発を進めた「犯罪国家」であり「テロ国家」である北鮮を、明確に「日本に対する敵国である」と断定し、外交に限らず軍事をも含む、より強硬な対応を示さねばならないものと考えます。とは言え、当の北鮮が、大規模な飢饉による食糧不足に見舞われようが、燃料不足に陥ろうが、デノミの失敗により経済的・社会的混乱が起きようが、今尚、国(=現体制)が崩壊しないのには、偏(ひとえ)に理由があります。それは「中国」と言う強い後ろ盾があるからに他なりません。

「朝鮮人民軍中國人民志願軍勝利萬歳!」ポスター
昭和26(1951)年に、朝鮮戦争に於ける中朝軍の結束と、米韓軍に対する勝利を祈念して製作されたポスター。
「中国」と北鮮は、中国共産党と朝鮮労働党と言う社会主義政党を互いに戴(いただ)く一党独裁国家であり、非民主国家です。然も、両国は「血で結ばれた友誼(ゆうぎ)」と称される強固な同盟関係を結び、昭和25(1950)年6月25日から休戦協定が調印された翌昭和26(1951)年7月27日に至る朝鮮戦争に於いては、米軍が「国連軍」の名目で劣勢にあった韓国軍に加勢し、北鮮軍を鴨緑江(アムノッカン;おうりょくこう)の中朝国境付近に迄追い詰めた際、同盟国であり後援国である「中国」は、「中国人民志願軍」の名目で彭徳懐(ポン=ドーファイ)司令官率いる100万人規模の大兵力を投入。北鮮軍と共に米韓軍を南へと押し戻し、北緯38度線を中心としたラインで戦線を膠着化させ、壊滅(韓国による朝鮮半島統一)寸前だった北鮮を救った程です。北鮮が金日成(キム=イルソン)主席から子息の金正日に代替わりしたにも関わらず、旧態依然とした体制を維持するどころか「先軍政治」(軍事最優先の国家体制)と称して先鋭化する中、一方の「中国」は、最高実力者・鄧小平(デン=シャオピン)以来の「改革開放」政策により目覚(めざ)ましく発展。現在では、夫々(それぞれ)が進める路線に大きな違いが生じ、先の金正日の「中国」訪問(2010年5月3日〜7日)の際、会談に応じた温家宝(ウェン=ヂアパオ)国務院総理(首相)から、「国連安保理の対北鮮制裁の枠を超える支援は出来ない」として「特別支援」を断られる等、嘗て程の強固な関係に無い事は明らかです。然し、それでも尚、未(いま)だに「中国」が北鮮の最大の後ろ盾である事には変わりはありません。それは北鮮(及び韓国)が偏(ひとえ)に、日米・中露が対峙する朝鮮半島と言う地勢に立地するが故、両陣営の「緩衝国家」として不可欠な存在であるからに他なりません。ですから、嘗て程の強力な支援をしなくなったとは言え、「中国」が北鮮を見放す事は絶対にあり得ない訳です。(「中国」にして見れば、どれ程、北鮮が貧しかろうと、飽く迄も「緩衝国家」であり自分達の子分である以上、北鮮の体制が崩壊しない程度に「生かさず殺さず」的な対応を取り続ける事だろう)

金日成・北鮮主席と周恩来・「中国」国務院総理 金正日・北鮮国防委員長と胡錦濤・「中国」国家主席
 
写真は、左が昭和33(1958)年11月、北京を訪問した金日成・北鮮主席を案内する周恩来・「中国」国務院総理、右が平成18(2006)年1月、同じく北京を訪問した金正日・北鮮国防委員長と握手を交わす胡錦濤・「中国」国家主席。半世紀の時を経ても尚、中朝両国が「血で結ばれた友誼」と称される同盟関係にある事に、何ら変わりは無い。

国は、オサマ=ビン=ラーディン率いる国際テロ組織「アル-カーイダ」を「匿(かくま)っている」(庇護している)としてアフガニスタンのターリバン政権を、大量破壊兵器を開発しているとしてイラクのフセイン政権を、夫々(それぞれ)軍事侵攻により打倒しましたが、殊(こと)、北鮮に対しては武力解決の構えを取っていません。国際協定に違反して核開発を密(ひそ)かに進め、核実験を強行し、遂には「核保有国宣言」すらしてしまった北鮮に対し、核問題を巡る北鮮と日米韓中露5ヶ国による所謂(いわゆる)「6ヶ国協議」での事態解決と言う何とも「手緩(てぬる)い」方策に終始しています。これは、一つには、米国にとって北鮮と言う「ヒール」(悪役)が存在してくれなければ、極東に日米同盟・米韓同盟の枠組みで米軍が関与し続ける口実が維持出来ないと言う点にありますが、米国が圧倒的軍事力を持ち乍(なが)ら、北鮮にだけは軍事侵攻しない最大の理由は実は他にあります。それは、北鮮の最大の後ろ盾である「中国」の存在があるからです。例えば、米国にして見れば、カリブ海は「米国の内海(うちうみ)」であり、カリブ海諸国は米国の勢力圏内にあると言う意識がありますが、それは北鮮にも当て嵌(は)まる事で、「中国」にして見れば、北鮮は自国の同盟国であり子分(衛星国)であると言う意識が強くあります。その北鮮に軍事侵攻すると言う事は、取りも直さず「中国のシマ」を荒らす事に他ならず、北鮮と同時に「中国」とも事を構えると言う事になる訳です。その事を十分承知しているからこそ、米国はアフガニスタンやイラクの時とは異なり、北鮮には軍事侵攻しない訳です。と言う事は、この様に捉える事も出来ます。

北鮮は犯罪国家であり「テロ国家」である!!

そして、

「テロ国家」を庇う「中国」は、「テロ国家」支援国家である!!

と。

「中国」は、言わずと知れた国連安保理に於いて「拒否権」と言う強大な権限を有する五常任理事国の一国です。その様な、国際社会に於いて責任ある態度と行動を求められる大国が、かたや北鮮と言う「テロ国家」の最大の後ろ盾として擁護の側に回っているのです。これは、どう考えても理に適(かな)っていません。いや、寧(むし)ろ安保理常任理事国としては不適格であるとしか言い様がありません。ならば、日本は、日本の安保理常任理事国入りに対して明確に反対の意志を表明し、様々な手段を以(もっ)てこれを阻(はば)もうとする「中国」に対し、「テロ国家支援国家」である事を前面に、その「資質」を問うてみては如何(いかが)だろうか?

「中国」が、この先、何処迄(どこまで)北鮮を庇(かば)い続けるのかは知りませんが、この事を格好の外交材料(カード)として、日本は「中国」を厳しく糾弾する可(べ)きです。何故(なぜ)なら、「中国」が北鮮を庇い続けているからこそ、日本が一国で経済制裁を発動しても何ら成果が上がらず、逆に北鮮をして強気な態度に奔(はし)らせ、ひいては邦人拉致等の諸問題が一向に解決しない原因を作っているのですから。その点では、正に

「中国」は北鮮と「同罪」である!!

と言えるのです。

(了)


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