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日米安保条約 (1952)

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和27(1952)年4月28日に発効した日米間の軍事同盟を定義した条約。正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」。大東亜戦争(太平洋戦争)で互いに敵同士になった日米両国であったが、戦後、米ソ対立(冷戦)や支那・北朝鮮の「赤化」(共産化)等により、米国は地政学的に重要な位置にあった日本を「防共の砦(とりで)」・「米国の前線基地」と意義付け、GHQ=米国が起草し日本に押し付けた『日本国憲法』(詳しくは、『113.不磨の大典『日本国憲法』は国際法違反の産物』参照の事)第9条(所謂「戦争放棄」条項)に反して、日本を再武装(警察予備隊→保安隊→自衛隊)させた。しかし、日本の再武装は、あくまでも米国の国家安全保障・世界政策の一環として認められたもので、武装化によって日本が自主独自路線を歩む事を認めるものでは無かった。そこで、米国は日本の再武装に際して、米国と軍事同盟を締結させる事によって、日本の軍事力の把握・管理と、自衛隊を実質的に米軍指揮下に組み込む為の方策として、日米安保条約を締結した。その後、昭和35(1960)年6月23日に、より踏み込んだ内容の改定条約(新安保条約)が発効、同条約第9条の規定に基づき、本条約は失効した。この昭和35年の改定条約と区別する為、一般的には、「旧安保条約」等と呼ばれる事が多い。


日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約

(旧 日米安保条約)

昭和26(1951)年9月8日 サン-フランシスコで署名
昭和27(1952)年4月28日 条約第4号

 日本国は、本日連合国との平和条約に署名した。日本国は武装を解除されているので、平和条約の効力発生の時において固有の自衛権を行使する有効な手段をもたない。
 無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、前記の状態にある日本国には危険がある。よつて、日本国は、平和条約が日本国とアメリカ合衆国の間に効力を生ずるのと同時に効力を生ずべきアメリカ合衆国との安全保障条約を希望する。
 平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有することを承認し、さらに、国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有することを承認している。
 これらの権利の行使として、日本国は、その防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。
 アメリカ合衆国は、平和と安全のために、現在若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。
 よって両国は次の通り協定した。

   第一条

平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて引き起こされた日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。

   第二条

第一条に掲げる権利が行使される間は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、基地、基地における若しくは基地に関する権利、権力若しくは権能、駐兵若しくは演習の権利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の権利を第三国に許与しない。

   第三条

アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。

   第四条

この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつでも効力を失うものとする。

   第五条

この条約は、日本国及びアメリカ合衆国によつて批准されなければならない。この条約は、批准書が両国によつてワシントンで交換された時に効力を生ずる。

以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。

千九百五十一年九月八日にサンフランシスコ市で、日本語及び英語により、本書二通を作成した。

日本国のために              
吉田茂

アメリカ合衆国のために         
ディーン=アチソン
ジョーン=フォスター=ダレス
アレキサンダー=ワイリー
スタイルズ=ブリッジス

(本用語解説中に掲載する条文は、河原一敏氏入力のテキストを利用させて頂きました。ここに同氏に対し、謹んで感謝を申し上げます。)


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