Reconsideration of the History
130.「中国」自身も使用している中国に対する蔑称「支那」 (2003.12.8)

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回のコラム『129.日本以外でも使われている中国に対する蔑称「支那」』で、改めて、「支那」の語源や類義語・同義語に触れ、「支那」の呼称が蔑称でも何でも無く、日本人に対して使用を止める様圧力を掛けてくる行為が、実の所、支那人による日本人に対する「人種差別」であると言う事を指摘しました。しかし、それらはあくまでも、支那以外の国や地域で使われていたものを基準にした訳で、当の「中国」自身の「支那」呼称に対するスタンスには触れませんでした。そこで今回は、「中国」自身の「支那」呼称に対するスタンスを通して、「中国」の「支那」呼称に対する主張の矛盾を突いてみたいと思います。

ず、第一に確認すべき事は、「中国」(中華人民共和国)の英語による正式な国際表記が、「People's Republic of China」であると言う事です。そして、そこに使われている「China」は先述の通り、「支那」と同義です。もしも、「中国」が日本に対して、「支那」は蔑称なので「中国」を使え!!と言うのであるならば、自国の英語表記も、「People's Republic of Zhonguo("Zhonguo"は「中国」の併音(ピンイン)表記)、あるいは、「People's Republic of Zhonhua("Zhonhua"は「中華」の併音表記)、と終始一貫、筋を通すべきと言えます。

、2002(平成14)年2月、小ブッシュ(George W. Bush)米国大統領の北京訪問に合わせる形で、「中国」政府は『中美関係三十年史』(「美」は「亜美利加」(アメリカ)の略で、米国の事)と言う記念写真集を刊行したのですが、この記念写真集の英題は、『30 Years of Sino-US Relations』前回のコラムでも触れましたが、「Sino」(シノ,サイノゥ)は「支那」(シナ)が変化したもので、「支那の」あるいは「支那と・・・との」と言った意味があります。その「Sino」がこの記念写真集に使われている訳ですが、ここで最も重要な事は、この記念写真集が「中国」政府によって刊行された公的刊行物であると言う事です。つまり、「中国」政府が公式に刊行した記念写真集に、「支那」の類義語である「Sino」が使われている言う事は、言い換えれば、「蔑称」であるとして「支那」呼称の使用禁止を日本に対して主張している「中国」自身が、自国の蔑称を使ったと言う事になります。これでは、到底辻褄(つじつま)があいません。この矛盾を説明するには、答えは一つしかありません。それは、「中国」自身が「支那」呼称を実際は蔑称である等とは露共考えてはいないと言う事なのです。

「旭日旗」ファッションに身を包む支那の人気モデル・趙薇 に言うと、現在、支那人ネットワーカーの間に絶大な人気を誇るウェブサイトがあるのですが、その名称は、ズバリ、

SINA.COM
(新浪網 http://www.sina.com/

と言います。主宰者の言に依れば、「SINA」(シーナ)とは、英語の「China」(チャイナ)と「Sino」(シノ)の合成語との事ですが、この「SINA」等は語源と言い、発音と言い、正に「支那」と同義です。そして、この「SINA.COM」(「支那」ドットコム)が支那人の間で絶大な人気を誇っていると言う事実。「SINA」が例え合成新語だとしても、その語源や発音から「支那」を連想させ、更に連想された「支那」が「中国」に対する蔑称であると言うのであるならば、何故、これ程の絶大な人気を誇っているのでしょうか? 自国の人気モデル・趙薇(ヴィッキー=チャオ)が旧日本帝国海軍(及び現海上自衛隊)の「旭日旗」(軍艦旗)をモチーフにした服装でステージに立った際(右写真)、「日本軍国ファッション」であるとして、過敏な拒絶反応を見せた支那人の事です。それこそ、「SINA」は自国の蔑称「支那」であるとして、過敏な拒絶反応を示しても良い筈です。しかし、現実はまるで正反対。非難や拒絶をされるどころか、逆に定番ウェブサイトとして人気を博しているのです。この事一つ取っても、支那政府が喧伝している「中国」に対する蔑称「支那」と言う主張や論理には疑義を挟まざるを得ません。

しも、「中国」が日本に対して、蔑称である「支那」呼称の使用を止め、「中国」呼称を使わなければならない、と言うのであるならば、先ず、「中国」自身が自国の英語表記や、公的刊行物、更には、自国民の間で使用されている「支那」及び「支那」から派生した呼称 ── 「Sino」であり「SINA」 ── を一切合切排除してから出直すべきとは言えないでしょうか? それが為されない限り、何が何でも、日本が「支那」呼称を忌避し、「中国」呼称を使わなければならない理由は無いと言えます。

   余談(つれづれ)

海に住む50代の邦人男性から、二枚の写真がインターネット経由で届きましたので、ご紹介します。一枚目は、F1上海の筆頭スポンサー「中国石化・SINOPEC(シノペック)」の巨大広告写真です。

F1上海の筆頭スポンサー「中国石化・SINOPEC(シノペック)」の巨大広告写真

「SINO(シノ)」が、「支那(シナ)」と類義語である事は前述の通りですが、支那を代表する沿海部の大都市・上海の、しかも、F1レース会場の入口ゲート上に堂々と掲げられている光景を目(ま)の当たりにすると、「SINO」の類義語である「支那」が、「中国」が言う様に果たして本当に蔑称なのか? 大いに疑問が湧く所です。

枚目は、2004年11月10日迄開催されていた上海国際工業博覧会に於ける、とあるブースの入口写真です。

中国石油集団・China National Petroleum......

「中国石油集団 CHINA NATIONAL PETROLEUM...」の表記。「支那」では無く「中国」だ!!と主張しているにも関わらず、英語表記では「CHINA」(支那)を使用。「中国」の主張には全く以て一貫性がありません。


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