Reconsideration of the History
134-2.「標準語」を話す「中国人」は全人口の半分強!! (2005.8.28)

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(前略) 私は、学生時代、中国に留学し普通話を勉強しました。今でも引き続き勉強しておりますので、ネイティブとはいきませんが、仕事でも使っているので、それなりに仕事で困らない程度の普通話を話す事が出来ます。

(ま)ず、私がこれ迄行った場所を挙げると、北京、天津(てんしん)、西安、上海、蘇州、常熟、大連、瀋陽、旅順、深圳(しんせん)、広州、東莞、香港特別行政区、マカオ特別行政区と結構色々な所に行っています。

で、以外に思うかもしれませんが、普通話が通じなかった場所は、一つもありません。勿論、ローカルの人同士は方言で話しますが、普通話で話すと、必ず普通話でちゃんと返ってきます。深圳に至っては、ここ20年位で出来た新しい街で住民の殆(ほとん)どが違う地方出身なので、此処では、普通話が現地語です。

香港やマカオにはよく行きますが、普通話が話せる人が驚く程多く、英語も広東(カントン)語も話せない私が行っても言葉で不自由をした事がありません。勿論、香港・マカオに関しては、返還以前は普通話を話せる人は少なかった様ですが、返還され、CEPAが施行された今となっては、普通話を話せなくては生活に支障が出るので、かなりの人が話せる様になっています。勿論、年配の人等は、話せない人も居ますが。

(中略)

中国語の方言は、方言と言うレベルを超えていると言う話は、竹下さんの文章だけで無く、他でも時折目にする事がありますが、それは大きな勘違いです。標準語があるからこそ意思疎通が出来て、お互いが標準語を知らない状態であれば、意思疎通すら難しいと言うのは、日本語と中国語と両方に共通する事であり、その程度に至っても、それ程変わりのあるものだとは思いません。きっと、標準語を知らない状態で山形の人と鹿児島の人で話をしても全く話は通じ無いと思います。

日本では、学校教育で標準語を使い、放送に於いても一般的には標準語を使っていますが、それに関しては、中国も全く同じです。寧(むし)ろ、教員が平気で方言を使う日本と違い、中国の教員は普通話を話しますから、中国の方が徹底してる共言えると思います。

マカオに関しては分かりませんが、香港に於いては、学校教育のカリキュラムに普通話が入っておりますので、若い人はかなりの確立で普通話を話せます。 (後略)

れは、コラム『134.「中国語」は存在しない!! 使用言語から見た統一国家「中国」の内実』を読まれた読者から届いたメールです。この方は、ご自身の体験から「中国」(支那)国内に於いて、如何(いか)に「普通話(プートンホワ)(標準語)が普及しているかについて語られている訳ですが、それでも私としては、「普通話」の普及については懐疑的です。

ず、この方が「中国」国内で訪れた地域を見てみますと、北京・天津・西安・上海・蘇州・常熟・大連・瀋陽・旅順・深圳・広州・東莞・香港・マカオ、と何(いず)れも大都市・中核都市ばかりです。又、何れも所謂(いわゆる)「漢民族」が多く居住する地域ばかりです。これが、例えば、内蒙古(もうこ)自治区であれば「モンゴル語」、新疆ウイグル自治区であれば「ウイグル語」(隣国カザフスタンと共にトルコ系言語でそれこそ「方言」レベルの違いしか無い)、そして、西蔵(チベット)自治区であれば「チベット語」が主要語となり、「普通話」=「漢語」(我々が「中国語」と認識している言語)の使用比率は激減します。余談ですが、私の知人(日本人)が内陸砂漠地帯の緑化プロジェクトで内蒙古自治区を訪れた際の「実話」ですが、彼(か)の地のモンゴル族「中国人」との会話中に、遂に「中国」と言う単語が出なかったそうです。彼らは、「我々モンゴル(人)は」とは言っても、決して「中国(人)は」とは言わない訳です。今現在、「中国」領内にあるにも関わらず、内蒙古自治区に住むモンゴル族は自分達の事を「中国人」だ等とは更々(さらさら)思っていない訳です。

(さて)、話が横道に逸れてしまいましたが、最後に昨年(2004年)、『日本経済新聞』に掲載された、とある記事を以下に掲載し、本件に対する一つの「答え」としたいと思います。

標準語話す中国人 全人口の半分強 内陸で普及遅れる

 【重慶=宮沢徹】 標準語を話すことができる中国人は二人に一人──。中国の国家語言文字工作委員会の調査によると「普通語」と呼ばれる標準語を話すことができる中国人は全人口の53%であることが分かった。農村部では45%にとどまっており、農村が多い内陸部などでは普通語の普及が十分でない実態が浮き彫りになった。

 重慶市内の大学や小学校では「普通語をしゃべろう」と書かれた看板がいたるところに目につく。重慶では四川語に近い重慶語が庶民の通常の言葉。普通語普及を目指す重慶市政府は、学校教育などで普通語を使うよう指導しているが、つい重慶語で授業してしまう先生も多い。重慶に留学した日本人は「日常で普通語を話す機会が少なく勉強にならない」と悩むほどだ。調査によると、農村が多い重慶、四川省など内陸部は普通語の普及がまだ遅れている。

(『日本経済新聞』記事より)


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