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プリンケプス  Princeps

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テン語で「第一の市民」の義で、ローマ初代皇帝・オクタヴィアヌス(Gaius Julius Caesar Octavianus アウグストゥス 在位:前27-後14)が称した称号。一般的には「元首」と訳されている。このプリンケプス(元首)による政治は、元老院等の共和制時代からの伝統を尊重したが、政治の実権はプリンケプスが掌握し、その体制は「プリンキパトゥス」(Principatus:「元首政」と訳されている)と呼ばれていた。我々が言う所の「帝政ローマ」・「ローマ帝国」とは、この元首政時代のローマを指している。又、我々が言う所の「ローマ皇帝」は、「プリンケプス」・「アウグストゥス」(Augustus:「尊厳者」の義)・「インペラトール」(Imperator:「終身独裁官」の義)・「カエサル」(Caesar:シーザー)等の総称であり、「皇帝」を意味する「エンペラー」(Emperor:英語)や、「カイゼル」(Kaiser:独語)・「ツァーリ」(Czar:露語)と言った語は、古代ローマのインペラトールやカエサルを語源としている。つまり、「ローマ皇帝」とは後世の価値観によってそう呼ばれている訳で、その観点に立てば、現在のアメリカ合衆国大統領 ── 「プレジデント」(President)も、その強大な権限から、後世、「皇帝」を指す語の一つに加えられるのかも知れない。


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