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沖ノ鳥島

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「沖ノ鳥島」の位置 在の日本に於ける最南端の島。日本の領土で唯一、亜熱帯に属し、その位置は台北やホノルルよりも南の北緯20度25分・東経136度05分。東京都の管轄下にあるが、その東京から南南東に約1,700Km離れた北太平洋上にあり、周囲数百Km圏内には何も無い絶海の孤島。嘗(かつ)ては、東西4.5Km・南北1.7Kmの環礁(珊瑚礁)からなる、ごく普通の「島」だったが、海面上昇と珊瑚の浸食の影響等で、現在は満潮時に、高さが僅か1m程の二つの岩礁「北露岩」(北小島)と「東露岩」(東小島)が海面上に顔を残すのみとなっている。両岩礁を合わせても面積は四畳半程しか無いのだが、この「島」のお陰で、日本は周囲12海里(1海里=約1.75Km)の領海と、同じく周囲200海里のEEZ(排他的経済水域)── 日本の陸地面積(約38万平方Km)を上回る、40万平方Km分を確保している。因(ちな)みに、二つの露岩を波の浸食から守る為に、現在は「島」の周囲をテトラポットとコンクリートで固め、更にチタン合金製の蓋(ふた)で保護している。

西側から見た「沖ノ鳥島」の全景
左手前が北露岩、右隣奥が東露岩、中央に観測施設、右側に水路がある。
(すてら氏『船・船旅 その魅力』内「沖ノ鳥島写真館」より)

支那(中国)は「沖ノ鳥島」について、「島」では無く、EEZを設定する事が出来ない単なる「岩」であるとして、日本の主権を否定しているが、日本が昭和58(1983)年2月7日に署名した『国連海洋法条約』第121条(平成6(1994)年11月16日発効)

     『国連海洋法条約』

      第121条 島の制度
  1. 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、満潮時においても水面上にあるものを言う。
  2. 3に定める場合を除く他、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。
  3. 人間の居住又は独自の経済的生活を維持する事の出来ない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。
に基づき、国際的に認知されている、れっきとした「島」である。


   註

大正8(1919)年から昭和20(1945)年の終戦に至る26年間、赤道以北の旧ドイツ領マリアナ・カロリン・マーシャルの各群島 ── 所謂(いわゆる)「南洋群島」を国際連盟による日本委任統治領として領有していたので、この時代の「最南端」は赤道付近と言う事になる。


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